ホント?北京五輪招致でロゲ氏と取引 中国元幹部が回想録

[ 2009年11月30日 15:40 ]

 2008年北京五輪の招致委員会幹部だった中国国家体育総局の袁偉民前局長が10月出版の回想録で、01年7月に開催地決定の投票が行われる際、欧州票を取りまとめてもらう見返りに、国際オリンピック委員会(IOC)会長選で欧州出身のロゲ氏(現会長)を支持する取引を中国政府が画策したと明らかにした。ロゲ氏が内々に北京開催を支持したとしているが、IOCは共同通信の取材に取引疑惑を否定した。

 回想録「袁偉民と体育界風雲」(江蘇人民出版社)によると、袁氏がナンバー2だった北京五輪招致委は、00年五輪の招致でシドニーに小差で敗れたのは欧州票が十分に取れなかったのが敗因と分析。01年7月のIOCモスクワ総会で08年開催地決定と同時に行われるサマランチ会長引退に伴う会長選では、ベルギー出身のロゲ氏支持により欧州票を獲得することを基本方針に定めた。内部で「合従連衡策」と呼び、中国指導部も関与した。
 会長選には韓国の金雲龍氏も出馬していたが、同じ地域から開催地と会長が選ばれることはないとの不文律も考慮した。
 投票の数カ月前に袁氏ら招致委幹部がロゲ氏とジュネーブで密会した際、ロゲ氏は会長選での中国の支持に感謝した上で「公には言えないが私は北京を支持している」「中国内外で深刻な政治問題が起きない限り、北京が開催権を獲得するだろう」との認識を示した。
 また北京を支持する理由の一つとして「パリが開催地に選ばれれば会長選で(欧州出身の)私が不利になる」と語ったという。
 01年7月13日の投票ではパリの得票が伸びず、2回目の投票で北京開催が決定。また3日後の会長選ではロゲ氏が金氏ら4候補を破り当選した。(共同)

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2009年11月30日のニュース