愛ちゃん超え!8歳美宇ちゃん最年少勝利

[ 2009年1月15日 06:00 ]

全日本選手権で2回戦に進んだ平野美宇

 8歳の天才少女が愛ちゃんを超えた!卓球の全日本選手権第2日が14日、東京体育館で行われ、ジュニアの部(高校2年生以下)1回戦で、小学2年生の平野美宇=みう=(8=平野卓研、山梨・田富北小)が、高校2年生の矢走江理(17=利府高)を3―2で下し、同大会の最年少勝利記録を打ち立てた。従来の記録は、98年にジュニアの部で準優勝した福原愛(20=ANA)の10歳。2回戦では森田愛(17=遊学館高)に1―3で敗れたが、堂々のジュニアデビューを福原も絶賛した。

 顔よりも大きいラケットを巧みに操った。卓球台から上半身がかろうじてのぞく1メートル31の平野が、軽快なフットワークで左右に動く。30センチ近く背の高い9歳年上の高校2年生を相手に、フォアやバックで果敢に打ち込んだ。30人もの報道陣が見守る中、フルゲームの末の最年少勝利。尊敬する福原を超えた平野は、会見で恥ずかしそうに「うれしかったです」とほおを真っ赤に染めた。
 元祖天才少女も顔負けの勝負強さだった。ジュニアの部では初出場の全日本選手権。2ゲームを先取し、続く2ゲームを接戦の末に落として最終第5ゲームを迎えた。しかし、不運からリードを奪われる展開になった。
 1―1の試合中に、隣のコートの審判の手が上がったのを、自分のコートのタイムアウトと勘違いしてプレーを中断し、ボールを見送ってしまった。不用意な失点でリズムを崩し、1―5と追いつめられると、8歳の瞳から涙があふれた。
 たまらず、コーチの母・真理子さん(39)がタイムアウト。「0―0だと思って、気持ちを切り替えてプレーしなさい」とゲキを飛ばされると、半べそ状態で猛攻に転じた。5―9から4点連取で並ぶと、最後は粘って14―12で逆転勝利。「泣き虫愛ちゃん」と呼ばれた福原を思わせる負けず嫌いぶりだった。
 2回戦は同じ高校2年生の森田に敗れ「2回勝つのが目標だったので悔しい」と残念がったが、堂々のジュニアデビューへの道のりも福原を思わせるものだ。初めてラケットを握ったのは、福原と同じ3歳の時。両親がともに元筑波大卓球部主将の卓球エリートで、真理子さんは山梨・中央市で卓球教室「平野英才教育研究センター卓球研究部」を経営する。福原同様、母の厳しい指導で実力を伸ばしてきた。
 練習は毎日3時間。07年夏の全日本選手権バンビの部(小学2年生以下)では、福原以来、2人目となる小学1年生での優勝を果たした。昨夏は同カブの部(小4以下)で準優勝。今大会には、約60人が参加した山梨県予選を1位で突破して出場権を得た。
 最近は高校や大人のクラブに出稽古に行くため「いつも大きい人とやっているので、あんまり緊張しなかった」と力強い。“第2の福原”と卓球界で呼ばれていた天才少女が、大舞台で見事に実力を示してみせた。将来の目標は「オリンピックで金メダル」。福原が04年アテネ五輪に出場したのは15歳。石川佳純、前田美優と才能が続く日本女子卓球界にまたも現れた新星が15歳になるまでには、まだ7年もある。

 ◆平野 美宇(ひらの・みう)2000年(平12)4月14日、静岡・沼津市生まれ。2歳から山梨・中央市に住む。現在は田富小2年で、成績は3段階評価で「オール良」。縄跳びは二重飛びを40回で学年トップの実力。母・真理子さんは元教師で、全国教員大会ベスト8、内科医の父・光正さん(40)は、筑波大時代に全日本選手権2回戦に進出。妹・世和ちゃん(6)、妹・亜子ちゃん(4)。1メートル31、25キロ。

続きを表示

2009年1月15日のニュース