里谷12年ぶりV 上村棄権

[ 2008年3月22日 10:44 ]

 フリースタイルスキーの全日本選手権最終日は22日、札幌市ばんけいスキー場で男女モーグルを行い、女子は予選をトップで通過した長野五輪金メダルの里谷多英(フジテレビ)が切れ味鋭いターンで25・42点の高得点をマークし、12年ぶり8度目の優勝を果たした。伊藤みき(中京大)が24・14点で2位。上村愛子(北野建設)は疲労のため棄権した。

 男子は上野修(リステル)が24・78点で、前日のデュアルモーグルを制した西伸幸(白馬ク)を0・03点差で抑え、2年ぶり2度目の制覇。

 ≪金の底力見せつけた32歳≫本気になった長野五輪金メダリストが底力を見せつけた。女子モーグルで里谷が全盛期を思い起こさせるスピードのある滑りで12年ぶりの全日本制覇を遂げた。「本当に良かった」。主要大会の優勝も9年前のワールドカップ(W杯)猪苗代大会までさかのぼる。「思い出せないぐらい前」という表彰台の真ん中で笑顔を見せた。
 ばんけいスキー場は小学校5年生のときに初めてモーグルの大会に出場した思い出の場所。そこに巡ってきた全日本選手権を、一時は引退の場へと考えた。だがW杯で種目別優勝した上村の活躍などに刺激を受けるうち、今大会前に現役続行を宣言していた。
 気持ちが固まると「今はチャレンジする立場。常に全力を出す」とひたむきさを取り戻した。予選は24・51点でトップ。決勝も鋭いターンで最速の26秒86をマーク。ターンの5人の審判員は3人が4・6点(5点満点)をつけた。
 疲労で欠場した上村も「わたしの調子が良くても、あそこまでの滑りはできない」と圧倒された。
 6月に32歳になり、シーズンを通して活躍できるかを心配する声はある。里谷は「体力的には落ちると思うけど努力で補いたい。まだまだ成長期」。かつての女王は挑戦者として、再び世界を目指す。

 ≪コインランドリーで寝入った上村≫女子モーグルを欠場し、今季を終えた上村は「5連覇がかかっていて朝まで考えた。でも起きたときに体の力が抜けていた。残念だけどやめた」と状況を説明した。デュアルモーグルで8位に終わった前日はコインランドリーで寝入ってしまうほど疲れていた。
 W杯でこの種目の日本勢初の種目別優勝を果たすなど充実のシーズンを過ごした。しばらくは休養にあてる予定で「1カ月ぐらいは(スキー)板をはかないで、モチベーションが上がるのを待ちたい」とほっとした表情になった。

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2008年3月22日のニュース