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J開幕【槙野智章氏 順位ガチ予想】優勝はFC東京「まとまりと余裕がある」 注目選手はC大阪・香川

[ 2023年2月17日 07:30 ]

今シーズンのJリーグの予想をした槙野智章氏(撮影・西海 健太郎)
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 古巣でも仲が良い選手がいても一切の忖度(そんたく)なし!元日本代表DFで昨年現役を引退した槙野智章氏(35)が、30周年を迎える明治安田生命Jリーグ開幕を前に全順位を予想した。今オフは多くのクラブを現地で視察。“1ミリの違いが分かる男”が肌で感じたチームの雰囲気や躍進しそうな選手、そして12年半ぶりにJ復帰したC大阪MF香川真司(33)への期待など独自視点で熱く語った。(取材・構成 飯間 健、波多野 詩菜)

 昨年引退し、今オフは多くのクラブのキャンプを現地で視察させていただきました。受け入れてくださった各クラブの皆さまに感謝申し上げます。ただ僕もそうだったのですが、順位予想は選手も気にして見ているんですよ。なので忖度なしでやらせてもらいます!解説をさせて頂いたスーパー杯では横浜がさすがの完成度を見せていましたが、まず抜群に良い印象を持ったのがFC東京。まとまりがあって、練習強度が高い。優勝を狙うチームの雰囲気がありました。受け入れ態勢も良く、そういうチームには良い意味で余裕があるんです。同じ広島で育ち、同い年のモリゲ(森重真人)のパフォーマンスがリーグ初優勝へのポイントになるのではないでしょうか。

 川崎Fは全員がソックスをあげてレガースを着用していたのに驚きました。僕が所属したチームは、日本代表も含めてくるぶしソックススタイルだったので。今の広島も川崎Fと同じらしいですが、鬼木監督からの“強度の高い練習をする”というメッセージかなと思いました。これは善し悪しではなく、各クラブのカラーの違いであり、選手時代には気づけなかったことも見えて、とても新鮮でしたね。

 注目選手は香川真司選手です。12年半ぶりにC大阪に復帰。彼がギリシャ(21年テッサロニキ)に行く前から僕は「帰って来い」と言っていたので、本音としては少し遅い(笑)。僕もケルンからJに復帰したので分かるのですが、日本の気候に馴染むのは言うほど簡単なことではない。神戸はイニエスタ選手にSPを付けていましたが、香川選手も遊びにいっても食事していても注目される存在。その環境もストレスにならなきゃいいですけど、でも選手もサポーターも、どんなプレーを見せてくれるのか期待していることには変わりません。ちなみに僕にはSPは付いていませんでした。

 そのほかDF目線でいえば柏FW細谷真大選手は嫌な選手。馬力はあるし、危険な位置に入っていける。得点も取れるし、周りも生かせる。パリ五輪世代だけどA代表と両立できるし、させないといけない。広島MF満田誠選手も(佐藤)寿人さんの背番号11を受け継ぎ、マークが厳しくなる中で打破できるか見ていきたい。あ、G大阪の選手間で高評だったのが新加入FWジェバリ選手。宇佐美選手や東口選手にも聞きましたが「テクニックがある」と口にしていたので楽しみです。

 少し心配なのは鹿島と横浜FC、札幌。鹿島はプレシーズンで結果が出ていません。僕はキャンプの仕上がりはシーズン成績と比例するところがあると考えていました。現役時代の経験を振り返っても「キャンプで悪かったけどシーズンは良かった」というのはなかったし、逆もしかりです。だから“いつか良くなる”ではなく、今の段階で危機感を持てるか。鹿島は注目しているチームの一つです。選手が大幅に入れ替わった横浜FCは、昨年の浦和が15人くらい入れ替わって苦労したように落ち着かないシーズンになるかもしれないです。同じ昇格組の新潟は松橋監督も選手も大きく替わっていなくて、去年からの積み上げがある。選手と監督の信頼関係があって大崩れしないとみています。あとは地元の後押し。浦和のような絶対的なホームの雰囲気があるので、ホーム戦では勝ち点を積み重ねていけるのではないかと思います。

 札幌はミシャ(ペトロヴィッチ監督)体制6年目。居心地の良さは大事だけど、良すぎるのはダメ。吉田麻也選手が言っていた「居心地が良くなったら選手は移籍した方が良い」は真理だと思っています。僕も広島所属時に練習で寝坊して遅刻したことがあり、その時に怒られるのではなく笑われたんです。23歳で怒られない立場になってしまったことは少しショックで“自分は環境に甘えていないだろうか?”と思ったのを覚えています。そうならないように選手個々が気付いてより厳しい雰囲気をつくれるか。

 スコルジャ監督が就任した浦和はキャンプ視察段階だけど新監督の“色”が見えづらかったので7位。神戸は残留争いした昨年の反省を生かせるか。両チームの高いポテンシャルは知っているので頑張って欲しいです。

 W杯カタール大会で盛り上がった後に迎える30周年のJリーグ。各クラブが新しいことにチャレンジして欲しい。そしてメディア側もやらないといけないですよ。記事の出し方、採点…欧州のように厳しく書いても良い。選手は「クソっ」と思いつつも「やんなきゃ」と思える。口当たりの良い記事は気持ち良いけど、引き寄せられるものは限られるんです。サッカーに興味がない人を引きつける施策にも期待していますし、サポーターの方は自分だけの密かな“推しメン”を見つけて追いかけ続けるのでも良いですよ!

 僕自身は将来的に監督を目指しているので監督の指示に対する選手の表情、リアクションとか交代意図とかに目を向けて見ていきたいと思っています。

【槙野智章氏の23年度J1順位予想】
 優勝…FC東京
 2位…広島
 3位…横浜
 4位…川崎F
 5位…C大阪
 6位…名古屋
 7位…浦和
 8位…神戸
 9位…柏
 10位…鳥栖
 11位…鹿島
 12位…G大阪
 13位…湘南
 14位…福岡
 15位…京都
 16位…新潟
 17位…札幌
 18位…横浜FC

 ◇槙野 智章(まきの・ともあき)1987年(昭62)5月11日生まれ、広島市出身の35歳。広島ジュニアユース―ユースを経て06年にトップチーム昇格し同年12月の清水戦でJ1デビュー。2年目途中からレギュラー定着。11年1月にドイツ1部ケルンへ完全移籍。12年1月に浦和へ期限付き移籍、13年から完全移籍となり17年ACL優勝や2度の天皇杯制覇(18、21年)に貢献。日本代表で国際Aマッチ通算38試合4得点。妻は女優の高梨臨。

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