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日本のサッカーが本当に強くなるためには

[ 2022年12月8日 12:58 ]

帰国し、花束を受け取った森保監督(左)は大勢のファンに向かって感謝の言葉を叫ぶ。右は吉田(撮影・尾崎 有希)
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 【大西純一の真相・深層】W杯を戦い終えた日本代表が帰国した。「ベスト8以上」の目標には届かなかったが、1次リーグでドイツ、スペインと優勝経験のある強豪国に逆転勝ちし、世界を驚かせた森保一監督の手腕は見事だった。

 いろいろな見方はあるだろうが、日本がベスト8以上に行くにはどうすればいいのか。キーワードは「継続性」だと思う。ここまで積み上げたものは間違っていないことはW杯で証明されている。せっかくいい流れもできているのだから、4年単位にこだわらなくてもいいはずだ。すでに日本スタイルが確立され、ゼロからチームを作る必要はない。監督の人選も「日本スタイルに合った監督」を探すのならば、当然「続投」も選択しに入っていい。4年後へ向けて、ここまで積み上げたものをリセットするのではなく、ここからさらに積み上げるのならば、「監督を代えない」という選択肢もある。

 時代が違うので比較は難しいかもしれないが、かつての日本は「継続性」を重視していた。1962年に就任した長沼健監督と岡野俊一郎コーチは、一足早く特別コーチに就任していたデットマール・クラマーさんと3人で日本代表を強化し、東京五輪でベスト8入り。クラマーさんは退任したが、教えを受け継いだ長沼さんと岡野さんのコンビで1968年のメキシコ五輪で銅メダルに輝いた。メンバーもほぼ同じで、杉山隆一さんと釜本邦茂さんは、合宿の時は毎日、杉山さんがクロスを上げて釜本さんが合わせる練習を200本やったという。杉山さんは「あうんの呼吸」といっていたが、その連係力が銅メダルの原動力になった。

 この20年あまり、日本代表は基本的には4年単位で監督が交代している。W杯が最大の目標である以上、4年単位で結果が求められるのは当然、契約などのことを考えれば区切りは必要だ。長期間やることで、マンネリ化するマイナス面などもあるが、4年間で交代すると、良くなりかかった芽が摘まれてしまうデメリットもある。最初から「4年間」と決めず、臨機応変でもいい時代になっているのではないか。

 世界を見てもドイツのレーブ監督ら長期間の指揮でチームを強化した例もある。そして何よりも「ベスト8へ行くために足りないものは何か」を一番知っているのも森保監督だということもある。新しい監督に託すのもチャレンジだが、森保監督の続投でチャレンジする選択肢もあっていいと思う。

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2022年12月8日のニュース