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カズが被災地仙台で示したもの「僕にできるのは全力を尽くしてピッチに立つこと」

[ 2022年4月18日 10:00 ]

鈴鹿・三浦知良
Photo By スポニチ

 【福永稔彦のアンプレアブル】17日にユアスタで行われたJFLソニー仙台―鈴鹿ポイントゲッターズ戦。鈴鹿の元日本代表FW三浦知良が2戦連続先発出場した。

 2トップの一角に入った背番号11は中盤に下がり、パスをさばいて攻撃にリズムをもたらした。0―0の後半10分には決定機を迎えた。左足で右隅を狙ったシュートはわずかに外れた。カズは「決めたかった。最高の形はつくれた。シュートが中途半端になった。悔やまれる」と悔しげに振り返った。

 シュートは1本だけ。公式戦5年ぶりのゴールはお預けとなった。それでも必死の形相で走り、体を投げ出し、最後まで戦う姿勢を示した。後半29分、ピッチを退く際には大きな拍手が送られた。

 J2仙台の本拠地でもあるユアスタでプレーするのは11年8月31日の震災復興支援試合以来、11年ぶりだった。その試合にはJリーグOBの一員として出場し、元イタリア代表主将フランコ・バレージが率いるACミランOBと対戦。北沢豪の決勝点をアシストして2―1の勝利に貢献した。

 カズはその5カ月前、震災発生直後の11年3月29日に大阪で行われたチャリティーマッチにも出場。ゴールを決めてカズダンスを披露し、被災地への思いを表現している。

 試合後には「今、本当に苦しんでいる人たちには諦めてほしくない。僕自身どこにいっても“44歳だ”と言われますが、自分もサッカーで諦めていないし、諦めたこともない。挑戦し続けたいと思っています」と被災者にメッセージを送った。

 その思いは今も変わっていない。ソニー仙台戦で今季最長の74分間プレーしたカズは、被災者との向き合い方を問われ「全力を尽くして、ピッチに立って、元気な姿を見せて、いいプレーをすることだけじゃないですかね。僕にできることは。それを続けていくだけじゃないかなと思います」と語った。

 55歳、カズの挑戦は終わらない。杜の都・仙台でその思いは強くなった。(スポーツ部専門委員)

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2022年4月18日のニュース