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大久保嘉人が全部語った C大阪復帰、批判、引き際、目標、そして家族「子供たちのためにも“頑張ろう”」

[ 2021年2月6日 05:30 ]

15年ぶりにC大阪へ復帰し、笑顔を見せる大久保

 J2東京VからC大阪へ移籍した元日本代表FW大久保嘉人(38)が5日、オンラインによるスポニチ本紙の単独インタビューに応じた。15年ぶりに実現した古巣復帰、家族への思い、自身への批判、引退、目標…。前人未踏のJ1通算200得点まであと15に迫る点取り屋が、率直に現在の心境を打ち明けた。

 ――キャンプで体が凄く動いているように見える。自主トレで追い込んできた?
 「かなりやりましたよ。どれぐらい?ん~、吐くぐらい(笑い)。自転車をこぐメニューがあって、それがめちゃくちゃキツい。今まではオフ期間中、やってなかったから。1月7日から動いていた」

 ――15年ぶりの復帰。C大阪に対する思い入れは違う?
 「自分が一番最初に入ったのがセレッソだから。みんな、初めて入団したところとかは思い出があると思うけど、俺の中ではめちゃくちゃ、セレッソの思い出が強い」

 ――加入する前年、クラブが提携していたバイエルンに梶野さん(現チーム統括部長)と行ったと聞いた
 「行きましたね。がっつり覚えてますよ。バイエルンのサテライトの練習に2週間ぐらい参加して、寮に泊まっていた。バイエルンの試合は2人で見に行って、お偉いさんが見るとこに入れてもらってね。あと、有名な城を2人で観光したり。めちゃくちゃ楽しかった」

 ――その頃から縁があるC大阪。実際にオファーを受けて
 「めちゃくちゃ、うれしかった。いつからか、自分の中で“最後はセレッソに戻りたいな”と思い描いていた。でも、それがかなう選手って、なかなかいない訳で。たぶん、無理だろうなと思っていた中で話が来たんで、相当、うれしかった」

 ――家族に相談は?
 「いや、俺、自分が決めるタイプなんで。嫁に“行くわ”って。最初、嫁だけに伝えたら“うわあ、良かったね”って言ってくれたから、そこで決めた。子どもたちに伝えたのは1月に入ってからかな。“家からいなくなるのは寂しいけど…”ってなったけど、でも喜んでくれた」

 ――やっぱり子どもたちには寂しさがある
 「いや、最初だけでしょ(笑い)。慣れたら大丈夫と思う。でも、緑二は寂しいかな。いつも俺にベタベタで、俺が大阪に行く日、学校に行く前に泣いていた。でも実を言うと、その日に緑二は漢字の宿題かテストがあったみたいで。それをやっていなかったから泣いていたのか、学校に行っている間に俺が大阪へ行くのが嫌で泣いていたのか、どっちか分からない(笑い)。でも、泣いてましたね」

 ――3歳の紫由くんは理解していた?
 「紫由は全然、分かってないっす。でも、ずっと俺がいないから“パパどこ行ったの?”って最近、言ったみたい。一番上の碧人は“頑張ってこいよ”みたいな感じで」

 ――家族は原動力?
 「そうっすね。子どもたちはずっと、サッカーにハマっているから。俺が点を取った時に、そのまねをしたりしてね。やっぱり、子どもたちのためにも“頑張ろう”っていうのは思う」

 ――復帰が決まった時に“選手生活の最後はセレッソ”と話していた。現役の終わりが近いと感じている?
 「今までに“目標は何歳までですか?”と聞かれて、40歳までと言っていたけど。面倒くさいと思えば…ね(笑い)。でも“面倒くさいと思ったら辞める”っていうのは、20歳の時からずっと言っていた。飽きるか飽きないか。元々、そういう考え方だし、そのスタンスでずっとやってきた。仕事だから。ただ、まだ自分の中にサッカーをやりたい気持ちがあったし、ここまで来たらお金とかでもない。その中で、セレッソから話をもらえたから」

 ――復帰に対しては批判もあった
 「批判している人もいるけど、でも、嫌いなら自分のニュースとか見ないだろうし“俺のこと気になってんじゃん”と。逆に、気にしてくれていてうれしい。楽しく、自分が思うようにやれればいいかなと。(結果が出るかは)本当に、チームに合うか合わないかだから。神戸の時に全然ダメで“パスが出てこないからシュートも打てない”と言った。結果が出ず、その状況でフロンターレに行く時はたたかれたけど、フロンターレの1年目に26点を取って、3年連続で得点王になって。パスが出てこないから点が入らなかっただろう、と証明できたから。合うか合わないか。そこだけ。それを経験する人はあんまりいないから。それは、自分にしか分からない」

 ――今季、C大阪で見せたい“大久保嘉人”とは?
 「点を取るところじゃないすか。こだわりはそこまでないけど、取らないと周りがうるさいから(笑)。アシストしようが、点を取っていないと、うるさいから。Jリーグを90分間、フルで見るのはファンやサポーターの人しかいない。ほかの人はそこまで見ないし(いろんな人に分かりやすいのは)ゴールじゃないかと。ピンクのユニホームを着て、いい姿を見せられるように頑張りたい」

 ◆大久保 嘉人(おおくぼ・よしと)1982年(昭57)6月9日生まれ、福岡県出身の38歳。苅田SSSから国見中、国見高を経てC大阪加入。国際Aマッチ通算60試合出場6得点。W杯10年南アフリカ大会、14年ブラジル大会に出場。家族は莉瑛夫人と長男・碧人(あいと)さん(中3)、次男・緑二(りょくじ)くん(小5)、三男・橙利(とうり)くん(小3)、四男・紫由(しゆう)くん(幼稚園年少)。1メートル70、73キロ。

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