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久保裕也の願い 米国のようになってほしくない日本へ「STAY HOME」

[ 2020年4月15日 05:30 ]

自宅で個人トレーニングを行う久保裕也
Photo By 提供写真

 メジャーリーグサッカー(MLS)でプレーする元日本代表FW久保裕也(26=シンシナティ)が14日までに本紙宛に、新型コロナウイルス感染症の猛威にさらされる米国の現地リポートを寄せた。同国は世界最多2万人超の死者が出ており、感染者数も約58万人に上る。揺れる大国で生活をするストライカーは、日本へ「STAY HOME」を呼び掛けた。

 僕が所属するシンシナティは米国中西部のオハイオ州という地域にある。感染者数が多いニューヨーク州とは約1200キロの距離で比較的近い位置。オハイオ州の新型コロナ感染者数は約7000人だけど、街は閑散としています。

 同州は3月22日に非常事態宣言が発令。日本と同じように公園やスーパーマーケットは営業できています。でも、それ以外の施設使用はNG。パトカーが巡回しており、例えばグラウンドに行くと警察官が来て「GO HOME(家へ帰れ)」と警告される。レストランも予約注文や宅配業務は許されているけど、その場で食事をすることはできない。当然チームも休止状態。少なくとも4月30日までは自宅待機を命じられています。

 スーパーマーケットではほとんどの人がマスクやビニール手袋をしている。ショッピングカートは触る前に除菌シートで拭く。ちなみに僕は食材購入後、包装紙を除菌してから開封するようにしている。そして外出するのは1週間か2週間に1度。新鮮な野菜を食べられず、冷凍野菜になってしまうのはスポーツ選手としてはつらいけど、極力、外出は控えるように心掛けています。インターネットで購入した物も段ボールにウイルスが付着している可能性もあるので屋内には入れず、玄関前で開けるようにしています。そこまでしなくても…と思うかもしれないけど感染者が爆発的に増えているのが実情。スーパーマーケットが感染源になることも懸念され、どこで感染するか分からない恐怖はありますね。

 MLS機構からは、国外移動の自粛要請が出され、国内移動も事前連絡が必要とされている。だから事前購入していたランニングマシンやバランスボール、人工芝などを使って自宅で練習をしています。“さあ、ここから”という中での中断になりましたが、今、サッカーは二の次。世界中の人が普通に暮らせることがスタートになる。その後、サッカーができる幸せをプレーで表現したいと思う。

 当初米国全土で“欧州のウイルスだし大丈夫”という緩い雰囲気が流れていた。オハイオ州も3月末になって初めて町全体がピリピリするようになった。日本もやっと緊急事態宣言が発令されましたね。米国と同じ状況にはなってほしくない。自分の命と自分の大切な人を守るために行動してもらえれば…と願っています。(シンシナティFW)

 【シンシナティ開幕2連敗も2戦目に久保1号】3月1日のNYレッドブルズ戦でMLSデビュー。後半途中交代となったものの好機を演出した。続く7日のアトランタ戦では2点ビハインドの後半19分に無回転ミドルを叩き込み、移籍初ゴール。チームは開幕2連敗となったが、年俸制限範囲外となる特別指定選手として実力を証明した。

 ▽メジャーリーグサッカー(MLS)1996年に発足した米国、カナダのプロサッカーリーグ。今季は26チームが参加し、レギュラーシーズンは東西両地区に分かれてホーム&アウェーで争う。ロサンゼルス・ギャラクシーなどが強豪。過去に元イングランド代表MFデビッド・ベッカム氏(44)、元スウェーデン代表FWイブラヒモビッチ(38=イタリア・ACミラン)、昨季神戸で現役引退したFWダビド・ビジャ氏(38)らがプレーした。

 ◆久保 裕也(くぼ・ゆうや)1993年(平5)12月24日生まれ、山口市出身の26歳。京都U―18所属時の11年に高校生でもJ公式戦に出場できる2種登録され、同年リーグ30試合10得点。13年夏にヤングボーイズ(スイス)へ完全移籍し、ヘント(ベルギー)、ニュルンベルク(ドイツ)、ヘントを経て20年1月にMLSシンシナティに完全移籍。国際Aマッチ通算13試合2得点。1メートル78、73キロ。

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2020年4月15日のニュース