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湘南チョウ・キジェ監督の問題に見えるもうひとつの大きな課題

[ 2019年9月24日 08:30 ]

チョウキジェ氏
Photo By スポニチ

 【大西純一の真相・深層】湘南のチョウ・キジェ監督がコンプライアンス違反の疑いで指揮、指導を自粛して1カ月半になろうとしている。その間、チームは高橋健二コーチが指揮を執っているが、4試合を戦い2分け2敗と苦戦が続いている。“疑惑”がどう事実認定されるか、どういう処分が課されるのかが注目されているが、同時に調査の長期化でチームにストレスを生んでいることもたしかだ。

 問題が浮上したのが8月12日、日本サッカー協会のコンプライアンス問題を相談する窓口に、匿名で「チョウ・キジェ監督の言動や振る舞いで、昨年までに数人の選手やスタッフが精神的なストレスを感じて退団を余儀なくされた」という申告があり、Jリーグが調査に乗り出したということだった。Jリーグは湘南の選手、スタッフ、役員のほか、退団した元選手やスタッフからヒアリングを行い、チョウ・キジェ監督の言動や振る舞いに問題があったかどうか調査を開始。湘南も13日からチョウ・キジェ監督に指揮、指導を自粛させている。あくまでもクラブ独自の判断で、Jリーグから自粛させろという指示はないが、「チーム内に申し出た人がいれば、監督が指導を続けるのは適切ではない」と判断して自粛することになった。

 湘南はシーズン中であることから、Jリーグに対して「早く結論を出してほしい」と申し入れているというが、それにしても調査に時間が掛かっている。Jリーグとしても初めての事例とあって慎重に対処している。「相手がどう受け取るか」という問題だけにきわめて難しい。さらにヒアリングの対象者が当初の予定よりも増えたこともあって時間がかかっているといわれている。

 だが、シーズン中に監督不在が1カ月以上も続くことはチームにとって異常事態。1選手と違って監督はチーム全体に影響を及ぼす。衝撃の大きさはチーム成績に表れている。特に湘南のサッカーは“球際の強さ”など、メンタルも重視しており、試合中もチョウ・キジェ監督の采配に負うところが大きかっただけになおさらだ。選手は「僕たちはやるだけ。試合がどんどんくるので」と言うが、試合ごとに“らしさ”が少しずつ消えていっているように見える。試合はどんどん消化されるだけに、この状態が長引けば長引くほどチームは苦境に陥っていく。このままでは残留争いに巻き込まれる可能性も否定できない。

 そしてもっと大きな問題は未来だ。チョウ・キジェ監督の去就がはっきりしなければ来季のチーム編成ができない。新人や移籍で獲得を目指している選手は「湘南はちょっと…」とちゅうちょする可能性がある。現在在籍している選手も「このチームにはいたくない」と考えてしまうかもしれない。来季以降にも大きな影響を及ぼす可能性がある。

 慎重で的確な判断は絶対に必要だが、迅速な対処が求められていることも事実。Jリーグ27年の歴史の中で、最も難しい対処が求められている事案かもしれない。

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2019年9月24日のニュース