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名波氏が欧州CL決勝分析 ベテラン重用のチェルシー 精神的に上回る

[ 2012年5月21日 13:06 ]

ディマッテオ暫定監督の現実的な選手起用がチェルシーを優勝に導いた

欧州チャンピオンズリーグ決勝 チェルシー1―1(PK4―3)バイエルンM

(5月20日 ミュンヘン)
 チェルシーが悲願の初優勝を遂げて、幕を閉じた欧州チャンピオンズリーグ。リーグ戦低迷、監督交代など迷走の続いたチームが、シーズン最後に栄冠をつかんだ要因を、スポーツニッポン新聞社評論家で元日本代表MF名波浩氏が分析する。

 チェルシーが優勝できた大きな要因は、ディマッテオ暫定監督の現実的な選手起用。ビラス・ボアス前監督時代には外されることがあったドログバ、ランパードらを重用してベテラン中心のチームをつくった。

 マンチェスター・ユナイテッドにPK戦で敗れた08年決勝に出場したメンバーも残っていて、その経験は大きかった。準決勝のバルセロナ戦ほどベタ引きの守りではなかったが、百戦錬磨のランパード、ツェフを中心に守備をよくコントロールしていた。

 勝負を分けたポイントは2つ。

 1つは先制点を決めたバイエルン・ミュンヘンのミュラーの交代。先制弾を決めるなど、神出鬼没でゴール前に飛び込んでくるミュラーを、チェルシーは怖がっていた。代わってファンブイテンを入れたが、オリッチを起用して攻撃的にいったほうが良かったのではないか。

 2つめはロッベンのPK失敗によるバイエルンMの精神的ダメージ。そのPKを獲得したリベリも負傷交代して、エース格の1人を失ったことも痛かった。

 試合後、私が座っていた解説席の横を通って表彰式に向かう選手の表情は明暗がくっきり分かれていた。その伝統ある世界最高峰の舞台を、宇佐美がベンチ入りして経験できたことは日本サッカー界にとっても大きい。欧州を目指す選手、子供たちに夢や希望を与えたと思う。(元日本代表MF)

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2012年5月21日のニュース