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バルサ “陰の参謀”ビラノバ助監督内部昇格に不安なし

[ 2012年5月1日 06:00 ]

<バルセロナ・バジェカノ>グアルディオラ監督(右)の後任として来季からバルセロナを率いるビラノバ助監督

リーガ・エスパニョーラ第36節 バルセロナ7―0バジェカノ

(4月29日)
 来季から無名の監督がバルセロナを率いる。今季限りで退任するジョゼップ・グアルディオラ監督(41)の後任に決まったティト・ビラノバ助監督(42)はクラブ下部組織出身ながら選手としてはトップチーム昇格を果たせず、華々しいキャリアとは無縁。トップチーム監督経験もない“日陰の存在”が史上最強とも称されるバルサを指揮できるのか…。実像に迫った。

 グアルディオラ監督の退任発表から2日後の29日に行われたバジェカノ戦、信頼された指揮官だけに選手へのショックが懸念されたが、終わってみれば7―0の大勝だった。メッシの2得点2アシストなどで今節でのV逸を阻止。変わらない強さはプジョル主将が「プロジェクト継続に理想的」と認めたように後任人事が選手の動揺を最小限に抑えたこともあった。

 現役時代の実績に乏しく世界的には無名のビラノバ助監督だが、選手には身近だ。08年夏からグアルディオラ監督と二人三脚。セットプレーも含めた戦術の決定や采配でスター指揮官を陰から支え、メッシの得点力アップにも一役買ったと言われる。下部組織監督時代に未来のエースをゴール前やトップ下で生かした経験からセンターFW起用を提言。昨年11月に参謀役が耳下腺腫瘍の手術で3週間離脱すると、指揮官が試合中のベンチから携帯電話で助言を仰ぐ場面もあった。13冠監督の頭脳と言ってもいい。

 下部組織同期生として親交を深めてきたグアルディオラ監督も退任発表の席で「私は2人で発展させてきたことを(監督として)話していたに過ぎない。彼なら私がもはや与えられない新しいものをクラブと選手に与えてくれる」と熱弁。内部昇格に懸けた決断に重鎮のヨハン・クライフ氏も「サイクルを終わらせないための素晴らしい解決策」と太鼓判を押した。

 武勇伝もある。昨年8月のRマドリードとのスペインスーパー杯第2戦で両軍選手が入り乱れた終了間際、敵将モウリーニョ監督に後方から右目に指を突っ込まれたビラノバ助監督は反撃。平手打ちを見舞った。直後の親善試合ナポリ戦で地元ファンが「ティト!ティト!」の大コール。ヒーローとして迎えられた。

 かつてグアルディオラ監督が体調不良を訴えた際に会見で「彼がいなくても前進に必要なことは私でもできる。問題はない」と話したビラノバ助監督。来季は日陰から飛び出して表舞台に立つ。

 ◆ティト・ビラノバ 1969年9月17日、スペイン・カタルーニャ州生まれの42歳。バルサ下部組織でグアルディオラと同じMFだったが、トップ昇格は果たせずセルタやマジョルカでプレー。引退後は02~03年にメッシ、ピケらがいたバルサのカデテ(ジュニアユース)で監督を務める。07年夏にグアルディオラ監督に誘われて4部バルセロナBの助監督となり、1年で3部昇格。08年夏からトップチーム助監督。

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2012年5月1日のニュース