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数的不利何の…好セーブのGK権田「超理不尽な練習」成果

[ 2012年4月9日 06:00 ]

<川崎F・FC東京>後半、川崎F・レナトのシュートを好セーブするFC東京・権田

J1第5節 FC東京1―0川崎F

(4月8日 等々力)
 FC東京が逆境をものともせずアウェーの川崎F戦に1―0と勝利し、前節終了時の3位をキープした。後半3分、MF長谷川アーリアジャスール(23)の退場で数的不利になりながらもU―23日本代表GK権田修一(23)がスーパーセーブを連発。9人となったフィールド選手も最後まで攻撃サッカーを貫き、土壇場の同42分、DF森重真人(24)が値千金の決勝弾を決めた。

 一気に間合いを詰め、体を張った。後半5分、ゴール前まで攻め込まれ、相手FWレナトと1対1の大ピンチ。だが権田は、仁王立ちすると至近距離のシュートをブロックしてみせた。「あそこは勝負。隙がないように見えたとすれば、それは集中力の高さだったと思う」。どんなに攻められても失点しない。そんな空気をつくり出すビッグプレーとなった。

 後半3分に長谷川が退場し、40分以上も数的不利での戦いを強いられた。権田は「1人1人が負担を増せばいい」と腹をくくり、集中力を研ぎ澄ませた。左右からのクロスは鋭い飛び出しでカット。相手FW小林のシュートを左手1本ではじくなど、後半だけで7本、合計13本のシュートを浴びながらゴールを割らせず、何度も相手サポーターのため息を誘った。「“ロスタイム6分”は人生で初めて。でも(いつ試合が終了したか)分からなかった」。それほど試合に入り込んでいた。

 実は、こんな状況を想定した特訓も積んでいた。開幕前、最初から11対12という状況で行うゲーム形式の練習メニューがあった。「超理不尽な練習」と権田。DFラインを下げては失点を繰り返したという。その教訓は生きた。DFラインは、最後まで高い位置をキープした。だからこそ森重の決勝ゴールも生まれた。ポポヴィッチ監督は言った。「これがFC東京のサッカーだ」

 2度の左膝じん帯損傷を克服して復帰したばかりの米本が2人分とも思える運動量で次々とピンチの芽を摘んだ。左腿に打撲痕を残す石川が決勝アシストを決めた。その全てが最後尾の守護神には頼もしく思えた。「勝ち点3以上の価値がある」と言った。9日、権田はU―23日本代表の宮城合宿に向かう。この経験は、守護神の新たな血となり肉となり、ロンドン五輪を戦うチームにも還元される。

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2012年4月9日のニュース