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復興への励みに なでしこトロフィー被災地行脚

[ 2011年7月28日 06:00 ]

一般展示されている女子W杯優勝トロフィーを見ようと集まったファンが日本サッカーミュージアム前に長蛇の列をつくった

 なでしこジャパンの“世界一トロフィー”を東日本大震災の被災地で展示する計画が進んでいることが27日、明らかになった。日本サッカー協会の田嶋幸三副会長(53)が明かしたもので、今後スケジュールを調整して“トロフィーツアー”を組むことになる。現在、女子W杯優勝トロフィーは東京都文京区の日本サッカーミュージアムで一般展示されているが、27日には史上最多となる3217人のファンが訪れた。

 世界一トロフィーが被災地に元気を届ける。この日アジアサッカー連盟の理事会に出席するために成田空港からマレーシアへと向かった田嶋副会長は、出発前に対応。なでしこジャパンの話題に触れ「トロフィーが好評みたいだね。(被災地での展示を)やりたいと思っている。小倉会長も考えていると思う」と女子W杯優勝トロフィーを東日本大震災で甚大な被害を受けた岩手県、宮城県、福島県を中心に巡回展示する意向を示した。

 トロフィーを獲得したなでしこジャパンのメンバーも、被災地に対しては特別な思いがある。主将のMF沢穂希(32=INAC)はすでに「被災地の子供たちに金メダルを直接見せたい」と明言。DF鮫島彩(24=ボストン)とFW丸山桂里奈(28=千葉)はかつて福島第1原発の事務員を務めながら東電マリーゼでプレーしていただけに、被災地を思う気持ちは強い。トロフィーが被災地で展示されることは、金メダル・メンバー全員の総意でもある。

 そのトロフィーは26日から一般展示が開始されたが、早くも多くのファンが殺到している。この日、日本サッカーミュージアムの前には長蛇の列ができ、トロフィーを見るまで最大で2時間待ちと、まるでディズニーランドの人気アトラクション状態。入場者数は、06年2月25日にW杯トロフィーツアーで訪れた3110人を超え、3217人と03年12月の開館以来史上最多を記録した。累計入場者数も33万人を突破。28日からは警備員を増員する予定で、館長を務める川淵三郎名誉会長は「トロフィーが見たい人がこんなにいるなんて幸せなことだ」と話した。

 トロフィーは、なでしこジャパンの絶対に諦めない姿勢の象徴であり、被災地に届けられれば復興への大きな励みにもなる。佐々木監督は「今回は被災地のみなさんにも大きな力をいただいた」と話していたが、今回のトロフィー・ツアーはなでしこジャパンの感謝の気持ちに他ならない。

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2011年7月28日のニュース