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“森のため”レナハット…川崎F再出発の1勝

[ 2009年11月9日 06:00 ]

<川崎F・千葉>試合前、スーツ姿でピッチに登場した川崎F・森勇介(左)は武田信平社長の後ろを泣きながら通り過ぎる

 川崎Fがリスタートの1勝を飾った。J1第31節の8日、3日のナビスコ杯決勝の表彰式での態度が問題視された川崎Fはホームで千葉と対戦。試合前サポーターに謝罪し、けじめをつけて試合に臨み、FWレナチーニョ(22)のプロ初となるハットトリックで3―2と逆転勝ち。首位をキープした。2位の鹿島、3位のG大阪も勝って優勝争いは上位3チームに絞られた。

【試合結果
J1順位表


 優勝へつながる1勝。そして違った意味でも重い勝利だった。ナビスコ杯決勝の表彰式での非常識な態度で、Jリーグの鬼武チェアマン、日本協会名誉会長の川淵キャプテンらの怒りを買った。サッカー界はもとより、世間から批判が相次ぐ大問題に発展してから初めて迎えた一戦で白星を手にした。

 「われわれにとって重みのある1勝。フェアな戦いで勝利することが信頼回復の一歩だと思っていた。すぐに吹っ切れることではないが、再スタートの意味でこれからも積み上げていきたい」。関塚監督は目を赤くして言った。

 警告ゼロで紳士的に戦った末の逆転勝利だった。相手に体を寄せることにも遠慮がちだった。ぎごちないプレーが続き前半35分に先制を許したが、FWレナチーニョがプロ初のハットトリックで気を吐いた。2―2で迎えた後半ロスタイム、FWジュニーニョの折り返しを右足で決めて決着をつけた。

 試合開始前、武田社長、関塚監督、選手らがスーツ姿でピッチに現れ、ナビスコ杯表彰式の問題についてサポーターに対して謝罪を行った。4カ所で計5回深々と頭を下げた。「大変許されない行為。深く反省しております」。武田社長が謝罪の言葉を述べる間、最も態度が悪質とされ出場停止処分を受けたMF森は嗚咽(おえつ)しながら体を90度折り曲げ続け、試合前には「オレのせいでこんな状況で試合をしなければならなくなって申し訳ない。でも残り4試合頑張ってほしい」とチームを激励した。

 レナチーニョは「(森)勇介のための勝利でもある。チームが団結してできた」と笑顔を見せた。背負った十字架は重いが、戦っていくしかない。

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2009年11月9日のニュース