【ヴィクトリアマイル】ソングライン雨中の復活V 東京マイルでは負けられない

[ 2023年5月15日 05:20 ]

G1・ヴィクトリアマイル ( 2023年5月14日    東京芝1600メートル )

<ヴィクトリアM>ソダシ(左)との競り合いを制したソングライン(撮影・村上 大輔)
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 東京マイルの女王が見事に復活した。春の最強牝馬決定戦「第18回ヴィクトリアマイル」が14日、東京競馬場で行われ、4番人気ソングライン(牝5=林)が優勝。昨年5着のリベンジを果たし、安田記念に続くG12勝目を挙げた。初コンビの戸崎圭太(42)は、15、16年連覇ストレイトガールに続き、同レース最多タイの3勝目を飾った。なお、連覇を狙ったソダシは2着に敗れた。

 返し馬が終わった直後。向正面が白く煙るほどのスコールが叩きつけた。発表は良馬場だが、荒れた内側の芝はたっぷりと水分を含んだ。そんなインから唯一、鋭く伸びたソングライン。「直線は外に出すプランだったが、思ったよりも位置取りが後ろになってしまった」と戸崎。歯を食いしばり必死のストライド。白毛の女王との差が1完歩ごとに詰まっていく――。

 道中、ソングラインは中団インをキープ。直線で得意の大外一気をもくろんだが、スペースが見つからない。「悪い馬場でもバランスは崩れていなかった。馬を信じました」と戸崎。初コンビでもパートナーへの信頼は揺るぎない。瞬時に進路継続を決断。ソングラインはその心意気に応え、まずは昨年の2冠牝馬スターズオンアースを捉える。さらにフットワークに凄みが増す。先に抜け出したソダシの白い馬体に内から並び、最後は頭差で競り落とした。「前の人気の2頭をかわせればと思っていました。本当に強さが際立つ競馬だった」。鞍上は相棒の勝負根性に脱帽した。

 昨年の安田記念でG1初勝利を達成したが、その後の2戦は見せ場なし。林師は「なんとかやり返したいという思いだけでした」と強い信念を持ち続けた。昨年のこのレース(5着)の前より運動量をアップ。戸崎には3週連続の調教騎乗を依頼して攻めを強化した。全ての取り組みが結果として表れた。師は「勝った時は本当に頭が真っ白になりました。いろいろなことを教えてくれる馬。ただただ“ありがとう”と伝えたい」と愛馬をねぎらった。

 次の目標は当然、連覇の懸かる安田記念(6月4日、東京)。秋には昨年断念した米G1ブリーダーズCマイル(11月4日、サンタアニタパーク)も視野に入る。林師は「メンタル、フィジカルの両面でさらにどっしりしてきた。心身の成長を感じます」と目を細める。前年安田記念VからのヴィクトリアM制覇は、09年ウオッカ、21年グランアレグリアに続く偉業。東京マイルの女王が、名牝の道を歩み始めた。

 ソングライン 父キズナ 母ルミナスパレード(母の父シンボリクリスエス)18年3月4日生まれ 牝5歳 美浦・林厩舎所属 馬主・サンデーレーシング 生産者・北海道安平町のノーザンファーム 戦績14戦6勝(うち海外2戦1勝、重賞4勝目) 総獲得賞金5億8105万5300円。馬名の由来はオーストラリアに伝わる道の名。祖先の足跡。

 ≪戸崎は区切りのJRA・G110勝目≫
 戸崎は21年秋華賞(アカイトリノムスメ)以来となる区切りのJRA・G110勝目。うち今回を含めた4勝をテン乗り(レース初騎乗)でマークしている。ヴィクトリアマイルはルメール(17、20、21年)と並ぶ騎手最多の3勝目。ストレイトガールで初優勝した15年もテン乗りでの好騎乗だった。

 ≪秋はブリーダーズCマイルを視野に≫
 馬主のサンデーレーシングは21年グランアレグリア以来となる単独最多3勝目。吉田俊介代表は「ジョッキーの判断が良く、実にうまく乗ってくれました。ソダシの頑張りで辛勝でしたが、勝利を信じていました」と歓喜。昨年は安田記念V後に米遠征を計画したが、喉の一部が腫れて気道が狭くなったことから断念。「秋は、去年果たせなかったブリーダーズCマイルが視野に入っている」と“リベンジ”へ意欲を示した。

 ≪ノーザンファーム5連覇≫
 ノーザンファームは19年ノームコアから5連覇を達成。津田朋紀場長は「海外も含めて最近はこの馬の本領を発揮できなかったが、今回は健康状態がいいと聞いていたので期待していました」と安堵(あんど)の表情。今後については「生産者として(米G1)ブリーダーズCを目標としているので大きな勝利になりました。秋が楽しみです」と語った。2歳の半弟ソニックライン(父リアルインパクト)は木村厩舎に所属、1歳世代には父キズナの全弟がいる。

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