【NHKマイルC】マーズ“令和のマイル王”得意距離なら負けん!

[ 2019年5月6日 05:30 ]

<第24回NHKマイルカップ>NHKマイルカップを制しガッツポーズのアドマイヤマーズ鞍上のデムーロ(撮影・会津 智海)
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 2歳王者は強かった。3歳マイル王決定戦「第24回NHKマイルC」が東京競馬場で行われ、昨年の朝日杯FS勝ち馬アドマイヤマーズ(牡=友道)が優勝。ミルコ・デムーロ(40)は今年、G1初制覇。令和最初のG1を華麗に獲得した。圧倒的1番人気に支持された桜花賞馬グランアレグリア(牝=藤沢和)は最後の直線で斜行し4位入線も5着へと降着。クリストフ・ルメール(39)は26日まで騎乗停止となり、ダービー(26日、東京)のサートゥルナーリアはダミアン・レーン(25=オーストラリア)に乗り代わることとなった。

 引き揚げてきたM・デムーロは馬上で興奮を隠し切れなかった。顔は紅潮。何度も馬の首筋を叩き、下馬してからは関係者とハイタッチ。喜びを爆発させるヒーローに大きな拍手が送られた。「令和最初のG1を勝ててうれしい。大好きな、愛している馬。最高の気分」。陽気なイタリアンは相棒に口づけをして検量室へと向かった。

 スタートでやや立ち遅れたが、すぐ中団に取り付いた。「スタート後に良いポジションが取れる馬。ペースがどうなるか分からなかったので他馬を見ていこうと思っていた。速いペースで流れたので中団で大丈夫だと思った」。皐月賞から2Fの距離短縮。17番枠とあって道中は終始、馬群の外を回らされた。だが、エネルギーは残っていた。直線、グランアレグリア、ダノンチェイサーを内に見ながら脚を伸ばす。残り200メートルで2頭を完全にかわした。内からカテドラル。大外からはケイデンスコール。しかし、マイル無敗の2歳王者は抜かせない。G1通算5勝、マイルの絶対王者だった父ダイワメジャーを思わせる“横綱相撲”で押し切った。

 ミルコはどうしても勝ちたかった。15年にJRA所属の騎手となってから昨年までの4年間でG1・18勝。だが、今年に入って、お立ち台から遠ざかった。「勝てないとつらい。苦しい」。ただ、希望は失わなかった。「失敗もあったけど悪い乗り方ではないと思っていた。腰が痛くて調子が良くないと言う人がいる。腰は全然痛くないよ。一生懸命、頑張っています」。周囲の雑音を結果で打ち消した。

 友道師は天皇賞・春でミルコにエタリオウを任せたが4着に敗れた。だが、信頼が揺らぐことはなかった。「4角でスムーズに上がっていき、何とかなるかなと思った。ミルコだけでなく厩舎も今春はG1で結果が出ていなかった。だからうれしい。マーズは並ばれてもかわさせない精神力がある。ミルコとはそういう競馬をしようと相談していた。結果的にその通りにしてくれた」。いつもと変わらぬ絶賛だった。

 今春はこれで休養に入る予定。「まだ距離は大丈夫だと思っている。ただ、現実問題としてマイルで結果が出ている」と指揮官。秋はマイル路線を歩む可能性が高い。2歳王者は3歳マイル王となった。秋には古馬の壁を破り、真の王者へと上り詰める。

 ◆アドマイヤマーズ 父ダイワメジャー 母ヴィアメディチ(母の父メディシアン) 牡3歳 栗東・友道厩舎所属 馬主・近藤利一氏 生産者・北海道安平町ノーザンファーム 戦績7戦5勝 総獲得賞金2億7352万5000円。

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