【仏フォワ賞】クリンチャー6着惨敗…逃げ切り狙うも直線失速

[ 2018年9月17日 05:30 ]

フォワ賞で6着に敗れたクリンチャー(撮影・平松 さとし)
Photo By スポニチ

 世界最高峰レース「凱旋門賞」(日本時間10月7日午後11時5分発走予定)の前哨戦の一つとなる仏G2「フォワ賞」(芝2400メートル、4歳以上)が16日(日本時間同日深夜)、パリロンシャン競馬場で行われ、日本から参戦した武豊(49)騎乗のクリンチャー(牡4=宮本)は6頭立ての6着に終わった。勝ったのは重賞4連勝としたヴァルトガイスト(牡4=仏ファーブル)。凱旋門賞と同じコース、距離で実施された前哨戦に完敗したクリンチャー。日本競馬界の悲願成就は果たして…。

 抜群のスタートを決め、果敢にハナに立って主導権を奪ったクリンチャー。超スローペースの中でフォルスストレートを抜け、最終コーナーまで先頭をキープしたが、見せ場はそこまでだった。内から外から地元ファーブル厩舎の3頭が襲いかかる。あっという間に後続にのみ込まれてズルズルと後退。世界デビュー戦は最下位6着に沈んだ。

 「休み明けでまだ体が仕上がっていない部分もあったので仕方ない。その分、(最後は)止まってしまった」

 4月29日の天皇賞・春3着以来とレース間隔が空いていたこともあって、武豊はサバサバした表情で振り返った。8月25日にフランス入りし、順調に調整はされてきた。武豊が「動きはまずまず。(フォワ賞は)メンバーがそろったけど、ここで本番につながるレースをしながら結果も出したい」と意気込めば、前田幸治オーナーも「本番に向けて胸ワクワクするようなレースをしてほしい」と話していた。

 これまで凱旋門賞に挑戦した日本馬は、帯同馬を除けば全てG1馬。過去にフォワ賞を制したエルコンドルパサー(99年)、オルフェーヴル(12、13年)も、国内外でG1勝ちを積み重ねての挑戦だった。対してクリンチャーはG1未勝利。G2京都記念勝ちの実績しかない。フォワ賞も6頭立ての4番人気と低評価。そんな“格下馬”の果敢な挑戦に、欧州の競馬関係者も好奇の目を向けていたが、評価を覆すことはできなかった。

 前哨戦に敗れ、エネイブルなどライバルの背中が遠のいた感は否めない。だがそこは“意外性”のクリンチャー。最低14番人気、単勝244・8倍で未勝利を勝ち上がった馬が、凱旋門賞の舞台に立つこと自体が奇跡とも言える。武豊も「ロンシャンの馬場自体は問題なかったし、そういう意味ではトライアルとしては良いレースができた。使ってよくなるタイプの馬だから次(凱旋門賞)は頑張りますよ」。収穫も口にし、あくまで前哨戦と割り切って前を向いた。本番まで3週間。どう巻き返すか、注目だ。

 ◆クリンチャー 父ディープスカイ 母ザフェイツ(母の父ブライアンズタイム)牡4歳 栗東・宮本厩舎所属 馬主・前田幸治氏 生産者・北海道新冠町の平山牧場 戦績11戦3勝(海外1戦0勝)。

続きを表示

この記事のフォト

2018年9月17日のニュース