“日本一地味”なリーディング桑村 初参戦WASJで暴れる!

[ 2018年8月22日 05:30 ]

WASJに初参戦する桑村
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 “日本一地味なリーディング騎手”が北海道に恩返し!!25、26日の2日間にわたって札幌競馬場で世界の名手たちが腕を競う「2018 ワールドオールスタージョッキーズ(WASJ)」にホッカイドウ競馬所属の桑村真明(31)が初参戦する。地方代表として戦う地は、夢だったジョッキーデビューを果たすなど節目で不思議と縁のある札幌。若駒の馴致(じゅんち)で鍛えた巧みな手綱さばきで、世界の名手たちと激突する。

 馬一筋が徹底している。はにかみながら桑村が話す。「趣味もないし休みの日は家で競馬を見たり。世界やJRAの凄いジョッキーたちの中で間違いなく僕が一番地味」。地方競馬ジョッキーズチャンピオンシリーズの賞金やWASJの騎乗料の使い道は「歯の矯正かな。歯並びが良くなれば踏ん張りが利いて今より力を出せそう」。全ては競馬のためなのだ。

 出身は東京だが、騎手になりたくて北海道へ。騎手デビューは札幌ダート1000メートル。初勝利も同じ舞台だった。桑村のデビュー当時はまだホッカイドウ競馬が札幌でも開催されていた(現在は門別のみ)。さらにJRA初勝利(08年9月20日)もやはり札幌。WASJ第1戦と同じ芝1200メートル、最低11番人気のイナズマアマリリスで鮮やかに差し切り、単勝1万5450円の波乱を起こした。「確かに縁がある。札幌は今も遠征で乗ることがあるし、コースも分かっている。地元なので勝ちたい」。不思議な縁を感じる競馬場で地方代表として騎乗。気持ちを内に秘める、はた目にはやはり“地味”なタイプだが凱旋舞台へ当然、闘志を燃やしている。

 JRA騎手学校を2度受験するも不合格。「北海道でアルバイトを受け入れてくれたのが、最初に所属した中村光春先生の息子さんの牧場でした。その縁で北海道に行くことを決めました」。挫折の桑村を馬産地が拾い上げてくれた。

 ホッカイドウ競馬は4〜11月のシーズンが終われば1歳馬が入厩。馴致の仕事が始まる。人を乗せたことがなく、最初は鞍どころか腹帯を着けるところから教える。馬を操るに長(た)けるといわれる同競馬の腕達者たちは、こうした経験からも磨かれていく。「どれだけプラスになっているか分からないけど、初めての馬に対するコンタクトの仕方とかは役に立っているかも」。抽選で騎乗馬が決まり、テン乗りがほとんどのWASJでは大きな武器になる。

 「騎手として育ててくれた地で、世界のジョッキーに勝つことは恩返しにもなる」。第二の故郷・北海道でたくましい道産子魂を培った桑村。節目のたびに爪痕を残してきた札幌競馬場で“ド派手”に躍動する。

 (※)▼馴致 馬が人を乗せてレースに出すまでのルールを教えていく作業。現在はそのほとんどが牧場やトレーニング、育成施設で行われている。

 ≪道内5カ所を巡回も10年以降は門別のみ≫北海道が主催(09年から一般社団法人北海道軽種馬振興公社に開催業務を委託)する地方競馬で、始まりは帯広競馬場(48〜84、87〜97年開催)。札幌、函館、帯広、旭川、岩見の5カ所を巡回しながら開催していたが、赤字のため97年に門別トレセンを改装して門別競馬場を新設。札幌、旭川を含めた3場開催に集約。10年以降は門別のみで開催。09年ナイターがスタート。今では全日程がナイターで行われている。シーズンは4月中旬〜11月上旬。2歳馬路線が充実しており、ホッカイドウ競馬から南関東ほか全国へ移籍して活躍している。

 今では全日程がナイターで行われている。シーズンは4月中旬〜11月上旬。2歳馬路線が充実しており、ホッカイドウ競馬から南関東ほか全国へ移籍して活躍している。

 ◆桑村 真明(くわむら・まさあき)1987年(昭62)3月26日生まれ、東京都出身の31歳。北海道・角川厩舎所属。05年4月20日の札幌2R(デアワンダー9着)で初騎乗。同5月24日の札幌8R(シャンハイビジン)で初勝利。09年栄冠賞で重賞初制覇。13年に初のホッカイドウ競馬リーディングを獲得するなど20代から頭角を現した。今年7月31日に地方通算1000勝を達成。20日時点で地方7478戦1016勝(重賞31勝)、中央84戦1勝。1メートル67。血液型O。甘い物が好きな“スイーツ男子”だが、近所で唯一のケーキ店が3月に閉店し、ちょっぴりヘコんでいる。

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