全乗り鞍を準備!騎手をサポートする裏方バレット

[ 2018年8月22日 05:30 ]

石川のバレットを務める飯倉さん
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 【馬好き人好き 裏方さんの仕事】競馬開催日、ジョッキーのサポートをするのがバレット。レース後の騎手からヘルメットやムチを受け取る姿を、テレビや競馬場で見たことのあるファンも多いだろう。今回は関東のホープ・石川裕紀人(22)のバレットを務める飯倉万佑未さんに、仕事内容ややりがいについて話を聞いた。

 バレットの朝は早い。1Rが始まる2時間近く前、8時頃にその日の全乗り鞍の準備を始める。一戦ごとに異なる勝負服、帽色(ぼうしょく)をそろえ、騎手がスムーズに次のレースに臨めるようにセット。中でも重要なのが鞍の準備だ。鞍上の体重と合わせたスポンジ(馬の背中と鞍の間に置く)、鞍、腹帯の3つが、斤量と同じように調整する。

 石川のバレットを務める飯倉さんは「本人の体重を前日くらいに聞いています。石川君は大体50キロ前後で来るので、鞍はプラスマイナス500グラムくらいで調整。一日で一番気を使う仕事です。間違えたら大変だし、クビかもしれないです(笑い)」。

 レース後も目まぐるしい。ムチやヘルメット、鞍を受け取り、汚れを拭く。夏場はレースごとにアンダーシャツを替える騎手も多く、その後も着られるように洗濯機も回す。飯倉さんは「雨が降ったダート戦後は手洗いで土を落としたりもします。お母さんみたいですよね」と笑った。

 大学生の頃から複数の騎手のバレットに付いた飯倉さん。平日は他の仕事に就きながら、土日になると競馬場に足を運ぶ。多忙な毎日、それでもバレットにしか味わえない充足感が彼女を動かしている。「この仕事はもう4年くらいになります。普段はヘラヘラしている石川君が、レース前に“ヨシッ”と意気込んでいる姿を見れば格好いいなって思う。本人が勝った時がもちろん一番だけど、勝てなくても人気のない馬で上手に乗ってきた時はうれしくなりますね」。

 取材当日、飯倉さんはほとんどの騎手が引き揚げた検量室で鞍やムチを奇麗に仕上げ続けていた。武豊が海外から“輸入”したバレットという仕事。彼女たちの働きは、ジョッキーたちの大きな支えとなっている。

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