【キタサンブラックと私】北村と5戦4勝、菊花賞V「いろんな引き出しもらった」

[ 2017年12月19日 08:45 ]

2015年の菊花賞を制したキタサンブラックと馬主の北島三郎(右)と北村宏
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 キタサンブラック伝説の幕開けは15年菊花賞。G1初制覇は北村宏とのコンビだった。北村宏とブラックはデビュー時から縁があった。後藤騎手(故人)が騎乗して快勝した新馬戦のレース後。同じレースに乗っていた北村宏が「いい脚でしたね」と声を掛けると「大きくてまだ大味だけど良くなりそうだよ」との返事が返ってきた。JRA通算1447勝の名手が得た大器の予感を、続く2戦目で北村宏も体感することになる。2番手から抜け出し3馬身差の快勝。「追い出してストライドが大きくなる時に大柄なのを感じさせない。フォームが凄いなと思った」と振り返る。

 ダービーこそ14着に敗れたが、秋はセントライト記念を制して菊花賞へ。それまでのイメージを覆す差し切りVを飾った。母の父は名スプリンター、サクラバクシンオー。「みんな“距離は大丈夫?”って聞いてきたけど、バクシンオーの瞬発力を最後に取っておけるような素直な気性。距離が持たないとは思わなかった。どこからでもレースはできると思っていたし、馬の気分に任せて走るとスピードが乗りすぎるかなと思ったから、ああいう形になった」。馬のリズムを崩さない好騎乗が光った。

 同年有馬記念を控えた12月上旬に左膝を負傷して離脱。4月にいったん復帰したが左膝遊離軟骨の除去手術で再度離脱し、ブラックとのコンビ復活はならなかった。G12勝目となった16年天皇賞・春、カレンミロティックとの激戦は病院で見た。「リハビリ中はリアルタイムでは競馬を見なかったけど、あのレースはトレーニングを中断して見た。歯を食いしばって頑張ったなあって」。コンビ5戦4勝、重賞3勝。自身クラシック初制覇の喜びを共にしたパートナーに「いろんな経験、引き出しをもらった」と感謝を口にした。

 ◆北村 宏司(きたむら・ひろし)1980年(昭55)7月24日、長野県出身の37歳。99年騎手デビュー。JRA通算1万3637戦1256勝(重賞31勝)。G1は06年ヴィクトリアM(ダンスインザムード)、14年天皇賞・秋(スピルバーグ)、15年菊花賞(キタサンブラック)の3勝。1メートル58、50キロ。血液型A。

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2017年12月19日のニュース