【ジャパンC】ディーマジェスティ100点!完成迎えて威風堂々

[ 2016年11月23日 05:30 ]

ハミを外して落ち着きと風格を漂わせるディーマジェスティ
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 迎え撃つ日本勢は3強だ。鈴木康弘元調教師(72)がG1有力候補の馬体を診断する「達眼」。第36回ジャパンC(27日、東京)ではディーマジェスティ、リアルスティール、ゴールドアクターを満点評価した。中でも達眼が捉えたのは皐月賞馬ディーマジェスティの変身ぶり。菊花賞では4着に敗れたが、巻き返せるボディーだ。

 ディーマジェスティの立ち姿にはクラシック3冠時と決定的な違いがあります。口の周囲の馬具を見てください。これまで着用してきたハミを外して、もぐし(簡易頭絡)だけで写真撮影に臨みました。ジャパンC有力馬を見渡しても、ハミを着けずに写真に納まっているのはこの皐月賞馬だけです。もぐしはハミよりも制御力が弱いため暴れだすと手に負えなくなる。悪さをしたり、暴れたりしないとスタッフが確信しているからこそ、もぐしだけでカメラマンの前に姿を見せたのです。

 耳を前方に集中させながら大地を踏みしめた立ち姿。歴戦の古馬のような平常心。菊花賞時よりも頭をしっかり上げて、馬名にふさわしい威厳(マジェスティ)さえ感じさせます。装着馬具の変化は気性の変化をそのまま示しているのでしょう。菊花賞では少し掛かりましたが、これだけどっしりと落ち着いていればスムーズに折り合えるのではないか。

 体にも変化があります。腹周りが引き締まってきました。それでいて、筋肉は全く落ちていません。父ディープインパクトよりも母の父ブライアンズタイムの特長を受け継いだ重厚な体形。トモが厚手になり、横幅が増し、腹袋まで大きくなった菊花賞時が成長期の姿なら、引き締まって馬体のメリハリが浮き立つ今回は…。完成期に差し掛かった姿かもしれません。元々、飛節の角度が浅い馬ですが、そんな弱点を補って余りある変化。冬場とは思えないほど毛ヅヤもさえている。今秋一番の状態です。菊花賞から中3週。より走れる体になっています。

 もぐしだけの威風堂々とした立ち姿と大人の体。初対戦の古馬勢よりも古馬然としています。「菊花賞4着から巻き返しますよ」と、ディーマジェスティ自身が語り掛けてくるようです。(NHK解説者)

 ◆鈴木 康弘(すずき・やすひろ)1944年(昭19)4月19日、東京生まれの72歳。早大卒。69年、父・鈴木勝太郎厩舎で調教助手。70~72年、英国に厩舎留学。76年に調教師免許を取得し、東京競馬場で開業。78年の開場とともに美浦へ。93~03年には日本調教師会会長を務めた。JRA通算795勝、重賞はダイナフェアリー、ユキノサンライズ、ペインテドブラックなど27勝。

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2016年11月23日のニュース