【凱旋門賞】オルフェ勝利確信!6馬身ぶっちぎり“トレビア~ン”

[ 2013年10月3日 06:00 ]

4頭併せで追い切るオルフェーヴル(右から2頭目)

 世界制覇へ、スタンバイはOKだ。凱旋門賞(6日、フランス・ロンシャン)に挑むオルフェーヴル(牡5=池江)が2日(日本時間同日午後)、調教の拠点シャンティイでクリストフ・スミヨン(32=フランス)を背に最終追い切りを行った。3つのポイントを鮮やかにクリアして、池江泰寿師(44)も納得の笑み。欧州調教馬以外で初となる快挙は、もう目前だ。同レースは3日、出走馬が決定。枠順は4日に確定する。

 凱旋門賞当日、フランス競馬史に残る衝撃が起こるだろう。もはや確信に近い。オルフェーヴルの戦闘能力は怖いぐらいに研ぎ澄まされていた。

 最終追い切りのテーマは3つあった。

 (1)馬の後ろで折り合えるか。

 (2)真っすぐ走れるか。

 (3)抜け出した後も他馬を待たないか。

 最強馬は明快に答えを出してみせた。エーグル調教場・芝周回コース。僚馬ブラーニーストーン(セン6)を含む3頭を追走した。スミヨンとの息はぴったり。抜群に折り合った。まず1つ目クリアだ。ラスト300メートル。内から3頭目に進路をとる。馬群を割った。そこからが息をのむようなド迫力だった。真っすぐ、かつ瞬時にちぎる。まだまだちぎる。後続など全く待つ様子も見せず6馬身もちぎり捨てた。2、3番目のポイントを同時にクリア。満点回答を叩き出した。

 「トレビアーン(素晴らしい)」。池江師の第一声は上機嫌だった。ただ、すぐに真剣モードで話を続けた。「折り合っていたし、ちゅうちょせず間を割って入っていった。そこからも他馬を気にせず前へ、前へ。いい推進力があった」。指揮官の目にも課題は全て高いレベルでクリアしたと映った。

 昨年は同じエーグルでも芝直線コースで追い切った。だだっ広い周回コースで馬がヨレたり、不測の事態を避けるためだった。しかし、その安全策が最後は裏目に出た。凱旋門賞ゴール前、完全に抜け出した後に急激に内へとササり、大魚を逸した。今年は違う。リスク覚悟で周回コースへと入れた。その分、スミヨンとの息は昨年以上に合った。信頼は、より強固なものとなった。

 そのスミヨンは日本だけでなく、どこのメディアの取材も拒否した。池江師は「あまり話していない。いい状態だ、とは言っていた。ハッピーだと言いながら帰っていった」。昨年、2着に敗れた後、家族の前で涙を流した。今年は落とせない。名手もまた集中力を極限まで高めている。

 ライバルの名を聞かれ、「オルフェーヴル自身。激しい気性の持ち主だが。自分に打ち勝つことができれば結果はついてくる」と答えた池江師。昨年のリベンジはなるか--。答えはもう出た。疑う余地はない。

 ▼昨年のオルフェ追い切りVTR エーグル調教場の直線芝コースで追い切り。スミヨンを背に、小林智厩舎の2頭の後ろで折り合いに専念。ラスト300メートルで外に持ち出すと、あっという間に5馬身突き放した。

 ◆シャンティイ調教場 パリの北約40キロ、シャンティイの森の中にある。エーグル、ラモルレー、コワイラフォレなどいくつかのコースに分かれ、総面積は約400ヘクタール(東京ドーム約85個分)。エーグル調教場は芝の約70%にライオングラスを使用しており、これはロンシャン競馬場の芝とほぼ同質。調教場使用料は賞金の約1%。日本馬が勝てば1着賞金約3億6200万円の1%、約362万円を支払う必要がある。

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