引退した競走馬に余生過ごせる場所を 高知・土佐黒潮牧場

[ 2013年8月23日 06:00 ]

(左から)土佐黒潮牧場スタッフの寺尾仁孝さん、代表の濱脇敬弘さん、娘の由起子さん、郁子夫人

 【地方競馬です!!】この夏、日本一暑い場所として一躍有名になった高知県。高知競馬場から車で30分ほど行った須崎市の海沿いに、引退馬のための牧場・土佐黒潮牧場がある。

 代表の浜脇敬弘さん(77)は、実家で農耕馬を飼っていたこともあり、馬が好きだった。建築業を営みながらファンとして競馬を楽しんでいたが、ふと「競走生活を終えた馬がどれも種牡馬になったり、天寿を全うできるわけではない。馬たちを殺さず、余生を過ごせる場所があってもいいんじゃないか。ないなら自分でつくろう」と考えた。自らも50代半ば。「これからが本当の人生」と会社を譲り、95年に牧場を開設。入厩第一号はアラブのブルーシーズだった。

 第1回黒船賞を制したリバーセキトバは今年5月、ここで23年の生涯を目いっぱい生きて天に昇った。7月には08年福島記念を勝ったマンハッタンスカイが加わり、16頭が悠々と暮らしている。記者にとっては07年にこの世界に入り、初めて見た帝王賞で4着に健闘した兵庫のチャンストウライとの再会がうれしかった。

 穏やかな顔でウトウトと船をこぐチャンス。経済動物である競走馬すべてを、この環境に置くことができないのは分かっている。それでも「1頭でも幸せになってほしい」という浜脇さんのような存在もある。これも記者を引きつけてやまない競馬の奥深さだ。(秋田 麻由子)

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2013年8月23日のニュース