【共同通信杯】エネアド 戸田イズムでDNA開花

[ 2012年2月8日 06:00 ]

<共同通信杯>ディープ産駒の強さを見せたいエネアド

 今週は3重賞が行われるが、注目は東京で行われるクラシックの登竜門「第46回共同通信杯」。先週のきさらぎ賞でワールドエースを筆頭に1~3着を独占したディープインパクト産駒ではエネアドに注目。新潟で衝撃のデビュー勝ちの後、5、12着と敗れたが、前走で復活を予感させる2着。陣営はステップアップへ確かな手応えをつかんでいる。

 エネアドが新馬勝ちの時に見せたパフォーマンスは規格外だった。1000メートル通過65秒4の超スローペースとはいえ、上がり3Fで刻んだラップは驚異の32秒5。いかにも粗削りな走りで伸びしろの大きさを予感させ、大物出現と周囲は色めき立った。

 だが、ポンポンと連勝できるほど甘くはない。続く東京スポーツ杯2歳Sでは出遅れて5着。ラジオNIKKEI杯2歳Sでは終始後方のまま12着と大敗。道中で行きたがってスタミナをロスし末脚不発。能力を出し切れていなかった。

 前走の若竹賞に復活の兆しが見えた。好位で折り合いをつけ、直線では外からジワジワと差を詰めた。逃げて踏ん張ったバンザイを捉え切るには至らなかったが泥臭く迫った走りに成長を感じさせた。「折り合いに進境が見られ、常識にかかったレースができた。不良馬場の中で頑張っていた」と戸田師。2着でも、その表情には満足感があった。

 馬任せで気持ち良く勝てれば、それに越したことはないが、いつか壁に当たる。我慢を覚え、馬群をさばき、先頭の馬を追い続ける。そんなしぶとさを身につけなければ上には行けない。それが徐々に備わってきたことが指揮官はうれしいのだ。最近は角馬場での運動でも姿勢が良く堂々としたしぐさが目立つ。素質だけで新馬戦を勝ち、やんちゃな面を出していた頃とは様変わり。競走馬の自覚が身に付いてきた。

 「レースを使いつつ教えていく、今はそういう時期。経験を積んで一気に良くなる馬もいるからね。オルフェーヴルはその典型。あの馬でも昨年の今頃はコロリと負けていたんだ。いろいろ覚えた末に良馬場で自分の競馬をして、どれだけの脚を使えるか…。そういうシーンがいくらか見えてきたところだよ」。3冠馬の名を挙げつつ、教育が実になりつつあることを喜んだ戸田師。完成は先だとしても、競走馬らしさを身に付けた今なら、初めての重賞に手が届いても不思議ではない。

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2012年2月8日のニュース