【東京大賞典】ファルコン連覇も…ドバイは?

[ 2011年12月30日 06:00 ]

<東京大賞典>レースを制したスマートファルコン(左)。右は2着のワンダーアキュート

 11年を締めくくる競馬のダートG1「第57回東京大賞典」が29日、大井競馬場で行われた。断然の1番人気に推されたスマートファルコンは苦戦を強いられたが、ワンダーアキュートとの大接戦を鼻差しのいでV。04、05年のアジュディミツオー以来、2頭目の連覇を達成、G1・5勝目を挙げた。騎乗した武豊は同レース史上最多となる5勝目となった。

 検量室前に引き揚げて来た武豊は、スマートファルコンを着順指定エリアの2着のところへ誘導した。次の瞬間、場内の電光掲示板に着順が表示されると、3万を超える観衆はどよめいた。「完全に負けたと思った。ヒヤヒヤやな」と鞍上は苦笑い。

 道中はこの馬のペースだった。いつも通り主導権を奪うと、前半1000メートル通過は59秒5。昨年の東京大賞典(58秒9)、今年の帝王賞(59秒8)と比べても決して速くはなかった。だが、鞍上は愛馬の異変を感じていた。

 「レース前から落ち着き過ぎていて気になっていた。いつもは行きっぷりのいい馬なんだけど、道中はずいぶんリラックスして走っていて、これでいいのかと心配した」

 最終コーナーではワンダーアキュートが1馬身後方に迫っていた。「4コーナーで(後ろを)もっと離したかったけど初めておっつける形に…。ゴールした瞬間、競馬場全体が凍りついているのが分かった(笑い)」。着差はわずか3・5センチ。それでも昨年のJBCクラシック以来続いている連勝を8に延ばした。「最後は良く我慢してくれた。今まで全力で走って来たので疲れが出たのかな。でも1年間全て勝ってくれた。名馬ですね」と愛馬の走りをねぎらった。

 天才と言われた名手にとって苦しい1年だった。デビュー2年目以降続いていたJRAG1連続勝利記録は23年でストップ。勝ち星は64勝で、全国リーディング16位まで落ち込んだ。「今年はいい成績を挙げられなかったが、この馬のおかげでいい形で締めくくれて良かった。来年はもっと頑張りますよ」と力強く語った。

 当初は来春の目標をドバイワールドC(12年3月31日、メイダン競馬場)としていたが、レース後、小崎師は明言を避けた。「思ったほどのパフォーマンスを見せられなかったからね。もちろん連れて行きたいが、選出されるか分からないし…。もう1度練り直します」とトレーナー。今後の動向が注目される。

 ◆スマートファルコン 父ゴールドアリュール 母ケイシュウハーブ(母の父ミシシッピアン)牡6歳 栗東・小崎厩舎所属 馬主・大川徹氏 生産者・北海道新ひだか町の岡田スタッド 戦績32戦22勝(南関東15戦11勝)総獲得賞金9億3073万6000円。

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