引退の名伯楽 22年越しの“女傑継承”期待

[ 2011年7月8日 06:00 ]

地方競馬です!!

 重賞「ロジータ記念」にその名を残す名牝を育てた福島幸三郎調教師(79=川崎)が6月30日付で引退。17歳から62年かけて歩んだ競馬人生に輝くのは、やはり「夢を全てかなえてくれた馬」と師がうれしそうに語るロジータだ。

 89年、同馬は羽田盃、東京ダービー、東京王冠賞を制し、牝馬で初めて当時の南関クラシック3冠馬となった。後肢の蹴る力が強く、馬房の壁に穴をあけたのは有名な話だが、ダービー前夜も一晩中壁を蹴るため、つきっきりで寝ずの番をしたという。「凄く気性がきつく、しかも状態がいいと余計にやるんだよ」と今では笑い話だが、2冠がかかった当時は気をもんだ。

 3冠達成後、同年の東京大賞典、翌年の川崎記念を制して引退。1年4カ月という短い競走生活ながら、希代の女傑として地方競馬史に深く名を刻んだ。母としても息子カネツフルーヴ、孫レギュラーメンバーのG1馬を送り出し、3世代での川崎記念制覇という偉業を成し遂げた。師の競馬人生を語る上でなくてはならない存在だという。

 そして今年、師の引退と同じタイミングで愛馬の記録に迫る馬クラーベセクレタが登場したのは、競馬の神様が作った不思議な縁と感じている。「新しいスターが生まれてドラマが引き継がれていくのが楽しみだよ」。ロジータ以来22年ぶりとなる牝馬の3冠馬誕生に、今は競馬ファンとして期待を寄せている。(秋田 麻由子)

続きを表示

2011年7月8日のニュース