【エリザベス女王杯】1着クィーンスプマンテ

[ 2009年11月16日 06:00 ]

<エリザベス女王杯>大逃げを打ったクィーンスプマンテが粘り込み大金星!

 会心の逃げ切り!「第34回エリザベス女王杯」が15日、京都競馬場で行われ、逃げた11番人気クィーンスプマンテ、2番手の12番人気テイエムプリキュアが“行った行った”の衝撃ワンツー。鞍上の田中博康騎手(23=美浦・フリー)はG1初制覇。3着に1番人気ブエナビスタが入ったものの、馬単25万910円、3連単154万5760円の大波乱となった。

 逃げるクィーンスプマンテの脚色が鈍らない。2番手のテイエムプリキュアもしぶとい。はるかに離れた後方からブエナビスタが追い込んでくるが、差はなかなか詰まらない。スタンドの悲鳴が高まる中、11番人気馬、12番人気馬のワンツーが決まった。
 引き揚げてきた騎手たちは落胆の表情を隠せなかった。ブエナビスタの安藤勝は「途中まで前が見えず、見えた時はあんなに離れていて…」とうめく。シャラナヤのルメールは「僕の馬のタイプでは前2頭をとらえに行くわけにいかなかった」と残念がった。
 さまざまな勝負のアヤ、とりわけ展開が生んだ大波乱に見えるが、小島茂師は「自信があった」と言い切った。「ハードに仕上げて今までにない状態だったし、ほかは控える馬が多かったから。人気はなかったけど、チャンスだと思っていた」。11番人気はあくまで周囲の評価。指揮官は「勝てるんじゃないかと意識していた」という。「自信を持って臨んで結果を出せた。してやったり…という感じです」
 昨年の秋華賞の勝ち馬ブラックエンブレムと同様に“栗東留学”で鍛え上げ、万全の状態に仕上げた。展開を読んで作戦を立て、思惑通りに勝ったのだから、波乱と呼ぶのは失礼かもしれない。
 立役者の田中博も迷いのない騎乗だった。「ハナを切るつもりだった。いいスタートを切れたし、うまく逃げることができました」。1コーナーまでの直線で加速すると、テイエムプリキュアが2番手に控え、1000メートル通過60秒5の平均ペース。「前走の京都大賞典(9着)とそう変わらないペースだったと思いますが、逃げた今回は楽に走ってくれましたね」
 引き揚げてくる時は馬上でこみあげる涙を抑えることができなかった田中博だが、勝利インタビューでは「僕も、この馬もこれからどんどん成長していきたい」と笑顔で話した。デビュー4年目、G1騎乗はこれが3回目にすぎないが“恐れを知らない”大胆騎乗が流れを呼び込んだ。

 ◆クィーンスプマンテ 父ジャングルポケット 母センボンザクラ(母の父サクラユタカオー)牝5歳 美浦・小島茂之厩舎所属 馬主・グリーンファーム 生産者・北海道千歳市社台ファーム 戦績21戦6勝 総獲得賞金1億7340万円。

 ◆田中 博康(たなか・ひろやす)1985年(昭60)12月5日、埼玉県生まれの23歳。高橋祥厩舎から06年騎手デビュー。同期に北村友、的場など。2年目の07年に44勝。今年4月フリーに。ユニコーンSをシルクメビウスで制して重賞初制覇。1メートル59、47キロ。

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2009年11月16日のニュース