×

WBO女子世界王者・多田悦子 10月に韓国で初防衛戦 “女子版モンスター”との対戦実現へ必勝期す

[ 2021年8月11日 21:47 ]

葉月さな(左)と“ほぼ実戦”のスパーリングで左ストレートを放つ多田悦子
Photo By スポニチ

 プロボクシング真正ジムの山下正人会長は11日、大阪市内で取材に応じ、WBO女子世界ミニマム級王者・多田悦子(40=真正)が10月に韓国でティ・トゥ・ニ・グエン(ベトナム)を相手に初防衛戦を実施する方針だと明かした。「100%決まっているわけではないが、その方向で進めている」と説明した。

 多田が現在保持する王座は、20年9月に宮尾綾香(ワタナベ)とグエンの決定戦で争われるはずだった。この試合はコロナ禍で中止され、多田と宮尾が同12月に決定戦を行い、多田が9回TKO勝ちで王座獲得した。

 この日、エディオンアリーナ第2競技場で実施された興行で多田は葉月さな(36=YuKOフィットネス)と48キロ契約ノンタイトル8回戦に臨む予定だった。ところが先週末にWBOからグエンとの防衛戦を優先するよう指示があり、急きょ6回のスパーリングに変更された。グローブを8オンスから10オンスに替えたものの、ヘッドギアなしで“ほぼ実戦”と言える形式だった。

 多田はプレスをかけてワンツーや左ボディー、左カウンターも決めて主導権を握る。これに対し、葉月は時に右カウンターを決め、手数を出して優勢な場面があった。昨年12月の決定戦以来8カ月ぶりに観客の前でリングに上がった多田は「ギアが上がってスパーリングという感じではなかった」と充実感をにじませた。「もっとコンパクトに打つように修正していかないと。フィジカルトレーニングもやって、返しを速くしたい」と今後への課題を挙げた。

 対戦を熱望する相手がいる。今年7月のWBO女子世界ライトフライ級タイトルマッチで王者・天海ツナミ(山木)を判定で破り、既に保持していたWBA女子世界ミニマム級王座と合わせ2階級制覇したセニエサ・エストラーダ(29=米国)だ。戦績は21戦全勝8KO。スピードと手数があり、右構えと左構えを巧みにスイッチして天海を圧倒した。

 その試合もチェックした多田は「オールマイティー。距離もつぶせるし、回転力も凄いし見切りが早い。今は勝つイメージがつかめない。対戦したら99・9%負ける。強い。ボクシング人生で初めて“吐き気するぐらい強い”と思った」と絶賛。ここまで20勝7KO3敗3分け、WBA女子ミニマム級王座を9度防衛したレジェンドでも震え上がった。さらに「井上君とやるようなものかも」とWBA&IBF世界バンタム級統一王者・井上尚弥(28=大橋)を引き合いに出し、エストラーダが“女子版モンスター”だと形容した。
 エストラーダから今年4月にメールで連絡が届き、近い将来の対戦を約束しているという。しかし、多田が世界王座を保持していることが条件となる。10月に韓国で実施見込みの初防衛戦に向け「防衛しないとエストラーダと対戦できない」と必勝を期している。

続きを表示

この記事のフォト

2021年8月11日のニュース