岩佐 悲願の王座獲得、初回からダウン奪い日本人対決制した
IBF世界スーパーバンタム級タイトルマッチ12回戦 ○同級3位・岩佐亮佑 TKO6回2分16秒 王者・小国以載● ( 2017年9月13日 エディオンアリーナ大阪 )
IBF世界スーパーバンタム級タイトルマッチは同級3位の岩佐亮佑が6回2分16秒TKO勝ちし、2度目の挑戦で世界王者となった。元WBAスーパーフライ級王者・小林昭司会長(44)のセレスジムからは初の世界王者誕生。小国以載は初防衛に失敗し、引退を表明した。
黄色いグローブが返り血で赤く染まった。6回、口から流血する小国の状態を見たレフェリーが試合をストップ。「ドクドクと出ていたし、試合が止まると思った」。小林会長に抱き上げられた岩佐は「世界王者になれる人間か、なれない人間か今日まで分からなかった。なれる方になれてホントに良かった」と喜びをかみしめた。
中3時のスパーで圧倒し、高1の全国大会初戦でも大勝している小国を、得意の左カウンターで1回に1度、2回に2度ダウンさせた。「小国さんが1回から前に出てくるとは思わなかったけど、カウンターを練習してきたので良かった」。3回に左拳を痛め、4回は減点、5回には小国の反撃で「心が折れかけた」。だが、「足を止めない、行き過ぎない」の作戦を忠実に実行し、「ラストチャンス」をモノにした。
バンタム級ではアマで高校3冠。プロでも山中慎介に敗れた以外は全勝で日本、東洋太平洋王座を獲得した。だが、減量苦が始まると軽快な動きは影を潜め、7年目で実現した世界初挑戦も敵地でTKO負け。「世界王者になれない選手なのかと一度は諦めかけた」が、リミットが1・8キロ上のスーパーバンタム級に上げたのが正解だった。「55キロから落とすのが地獄だった」減量から解放され、さびつきかけていた才能がよみがえった。
目標は「海外で勝てるような選手」だという。「大きなジムとは違うし、僕らしくチャンスがあればどこでも行きたい。有名な選手ではなく、強いボクサーになりたい」。指名挑戦者に選ばれ、王者を直接破る“王道”でベルトを巻いた。「日本人相手の防衛は考えたくない。日本人は、挑戦者決定戦に勝ってきてほしい」。新王者は誇らしげに話した。
【岩佐 亮佑(いわさ・りょうすけ)】
☆生まれ 1989年(平元)12月26日、千葉県柏市。身長1メートル71、リーチ1メートル80。
☆アマ 中2でセレスジム入門。中卒でプロ転向を希望も、小林会長に勧められて名門・習志野高へ進学。高校3冠など、66戦60勝(42KO・RSC)6敗。
☆プロ 08年8月デビュー。11年3月、山中慎介(帝拳)の日本バンタム級王座に挑戦も10回TKO負けでプロ初黒星。同年11月に日本王者、13年12月に東洋太平洋王者。15年6月、敵地でのIBF世界同級暫定王座決定戦で、ハスキンス(英国)に6回TKO負け。
☆左構え 本来は右利きだが「イチローや松井秀喜みたいな右投げ左打ちに憧れて、入門時に会長にうそをついて」サウスポーに。
☆趣味 海釣り。茨城・鹿嶋でヒラメ、サケなどを狙う。「指をケガしないように試合が決まったらやめている」が、魚好きが高じて柏市内の鮮魚店に勤務。店頭で販売も。
☆家族 父・正利さん(61)、母・智和子さん(57)と姉。
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