オリックスはポストシーズンも全員野球――頓宮、山下離脱の試練を乗り越えろ

[ 2023年9月25日 07:30 ]

<オ・ロ>中嶋監督胴上げ(撮影・長久保 豊)
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 オリックスが、2年連続日本一へ向け、苦境に立たされている。20日に圧倒的な強さでパ・リーグ3連覇を達成したが、23日に首位打者争いのトップに立つ頓宮と、高卒3年目の今季9勝をマークしてブレークを果たした期待の若手・山下の長期離脱が判明した。

 体調不良で登録を外れていた頓宮は「左第4中足骨疲労骨折」が判明し、全治8週間の見込み。8月26日のロッテ戦で腰に張りを訴えて5回で降板して登録を抹消された山下は「第3腰椎分離症」と診断された。

 ともにポストシーズンの出場は厳しい状況で、チームにとっては大きな痛手。中嶋監督も「いないものと思ってやるしかない感じだと思います」と覚悟を固めた。

 今こそチーム力が試される時だと思う。2位に10ゲーム以上の大差をつけて逃げ切った今季も、常に駒が揃っていたわけではない。野手陣では3月に右太もも裏を痛めていた頓宮が開幕直後は不在だった。頓宮とともに打線の中心となった森も7月1日の日本ハム戦で左太もも裏を負傷し、8月8日のロッテ戦で復帰するまで1カ月以上も戦列を離れた。

 だが、開幕直後は複数ポジションをこなすゴンザレスが一塁を守って穴を埋め、7月は育成出身の大砲・セデーニョが打率・309、7本塁打、23打点の大活躍で打線を引っ張った。守っては若月が奮闘。森が離脱していた24試合中23試合でスタメンマスクを被り、独走態勢を固める原動力になった。

 投手陣も先発の一角だった田嶋が6月に左前腕の張りを訴えて離脱した。体調不良も重なり、復帰まで約3カ月を要したが、その間に育成出身の東が台頭し、白星を重ねた。
 リーグ優勝の紙面でエースの山本と対談した本紙評論家・能見篤史さんがチームの雰囲気について「本当にみんな仲がいい。素直に応援している人が多くて“蹴落とす”という感じがない」と話していたのが印象に残っている。

 このチームはライバル関係にあっても、お互いを尊敬して認め合い、切磋琢磨できる雰囲気がある。抜擢された選手が力を発揮できるのも、そのおかげかもしれない。

 2人の離脱が明らかになった23日のソフトバンク戦では2カ月半ぶりに昇格した福田が2安打し、一塁を守ったT―岡田が打点を挙げた。メンバーが入れ替わっても王者は強い。ポストシーズンは、もう一つ進化した全員野球が見られるのでは、と期待している。(記者コラム・中澤 智晴)

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