松坂大輔氏 右肘じん帯損傷のエンゼルス・大谷にエール まだまだ二刀流いける 時間かけてでも治して

[ 2023年8月29日 05:35 ]

<メッツ・エンゼルス>3回、好機で三振に倒れた大谷(撮影・光山 貴大)
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 【平成の怪物が行く 松坂大輔の探球】スポニチ本紙評論家の松坂大輔氏(42)による月1回の連載コラム「松坂大輔の探球」8月編。エンゼルス・大谷翔平投手(29)の右肘じん帯損傷が判明した。松坂氏も11年6月に右肘じん帯再建手術(通称トミー・ジョン手術)を受け、厳しいリハビリのすえに復帰した経験を持つ。大谷も2度目の手術を受ける可能性があるが、松坂氏は大谷が難関を乗り越え、再び投打二刀流でファンを魅了する日が来るのを信じている。

 右肘のじん帯損傷が判明しても、大谷選手は野手として試合出場を続けています。表情も明るい。自分は見ていて肘を悪化させないか、と単純に心配してしまいます。今後のことも含めて当然、不安はあるでしょう。それでも心は折れず、不安な気持ちを試合に出ることで奮い立たせ、打者として結果を出していくことで周囲の不安も振り払おうとこれまで以上に必死なプレーをしているのでは、と勝手に推測しています。

 最初に大谷選手のじん帯損傷を聞いた時は、自分もショックでした。じん帯は鍛えようとして鍛えられる部分ではありません。前回のトミー・ジョン手術から約5年。大谷選手のプレーが持つ圧倒的な出力に、肘が耐えられなかったのかもしれません。投手としてマウンドに上がり、投げない日は野手でフル出場。常に負荷はかかっていたでしょう。徹底した自己管理など、二刀流を続けるためにできる限りのことはやっていたのだと思います。それでも故障をする。二刀流の難しさを改めて感じています。

 今後、セカンドオピニオンなどを経て本人がどう決断するのか。じん帯の損傷度合いなども含めての判断になりますが、再び投手としてしっかり投げるためには、手術という選択肢を選ぶ可能性もあると思います。自分も右肘手術の際はサードオピニオンまで求めました。手術を決断したのは、痛みでどうしても力を入れることができず、力を入れるのが怖くなった…。それが一番の理由でした。

 手術前の検査では部分断裂と言われました。実際にメスを入れて分かったのですが、自分のじん帯はひどい状態で、完全に断裂していました。リハビリも本当につらいです。痛みとの闘い。そのリハビリのことを考えると、手術は絶対に、二度としたくないと思いました。大谷選手は、その2度目の手術の可能性があります。

 自分はまた、大谷選手がマウンドで元気に投げる姿が見たいです。そのためには、時間はかかるかもしれませんが先のことをしっかり考えて治した方がいい。来年で30歳になりますが、まだまだ二刀流は続けられる。大谷選手ならこの難関をきっと乗り越えてくれると、強く信じています。(スポニチ本紙評論家)

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