ヤクルト・高津監督が為し得る「勝利と育成」の両立

[ 2022年6月14日 05:30 ]

チーム一丸で交流戦を制したヤクルト
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 新たに来季から2年の契約延長が決まったヤクルトの高津監督。昨年も今シーズンも、最も難題とされる「勝利と育成」を見事なまでに両立している。

 20年ぶりの日本一に輝いた昨シーズン。中10日を原則とした奥川やリリーフ陣の起用法に称賛の声が集まったが、将来の左のエースとして期待される高橋の起用にも、こんな工夫が隠されていた。

 「ヤス(奥川)の次に投げさせることをわざとやって、高めさせるというのはよくやってきた」と高津監督。2軍監督時代から高橋の負けん気の強さを見抜いていた指揮官。あえて奥川が先発した翌日に高橋を登板させる機会を増やしていた。

 4歳年下の右腕の好投を見せられれば、さらに闘争心に火が付く。狙い通り。両腕は切磋琢磨(せっさたくま)し、ともにチームの日本一にも大きく貢献した。飛躍のきっかけとなった昨季を経て、今季の高橋は開幕から先発ローテーションの一角を担う。交流戦を終え、ここまで2完投を含む自己最多の5勝をマーク。いまやチームに欠かすことのできない戦力になった。

 野手でも将来性を見据えた積極的な采配が目立つ。奥川と同期入団の高卒3年目・長岡を開幕スタメンに抜てきした。4月を終え、打率・216。結果は出なかったが、高津監督は「全てがうまくいくと思っていない。失敗を繰り返しながら成功をしていくもの」と選手を信じ、堪え忍んだ。5月は打率・316と調子を上げるなど、ここまで全試合で遊撃手のスタメンとして起用。今は1軍の試合に適応しつつある。

 高卒2年目捕手の内山壮も「一度、古田さんに会わせたい」と1軍キャンプに同行させた。古田臨時コーチの指導を受けた19歳は開幕1軍をつかみ、ここまで33試合に出場。「親子キャッチボール」と表現する42歳の石川との23歳差バッテリーを中心に、18試合で先発マスクを被らせ経験を積ませている。

 投手には石川がいて、野手には青木がいる。その下には中村や小川、山田が控える。そして村上に長岡、高橋、奥川らと続く。勝利と育成の両立から為し得た世代を超えた融合。高津ヤクルトの未来は明るい。(ヤクルト担当・青森正宣)

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2022年6月14日のニュース