近江・多賀監督「勝った実感が湧かないですね」 惨敗覚悟からの逆転勝ちに驚き隠せず

[ 2021年8月23日 10:55 ]

第103回全国高校野球選手権 2回戦   近江6-4大阪桐蔭 ( 2021年8月23日    甲子園 )

<近江・大阪桐蔭>8回2死満塁、勝ち越しの適時打を放つ近江・山口(撮影・河野 光希)
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 第103回全国高校野球選手権大会の第10日は23日、甲子園球場で2回戦が行われ、3大会連続出場の近江(滋賀)が3年ぶり出場の大阪桐蔭(大阪)を6-4で破り、3回戦進出を果たした。

 まさかまさかの逆転勝ちだった。初回に3点、2回にも1点を許す苦しい展開。多賀章仁監督は「勝った実感が湧かないですね」と第一声。「1回、2回、一番心配していた流れになったなと。もう、ハチャメチャのゲームになっちゃうんかなと感じましたね」と惨敗を覚悟したことを明かした。

 しかし、決してあきらめることはなかった。3回1死一、三塁から2番・西山のスクイズでまず1点。「先制パンチを食らって選手も動揺していたのでね。まず1点取れば、選手も『よし、やれる』となるだろうと思って、スクイズにいったんです。西山がよく決めてくれました」。大量点を求めたくなる場面だったが、選手の心理にも配慮したベテラン監督らしい冷静な采配だった。

 結果的にこれが吉と出る。4回に5番・新野がソロを放てば、5回には4番・山田の左犠飛で1点差に詰め寄る。そして7回、2死一、二塁で5番・新野が右前適時打を放ち、ついに同点。勢いは止まらず、8回2死満塁で途中出場の山口が右翼線2点適時二塁打。粘りに粘って、逆転勝ちを果たした。

 多賀監督は「山口は滋賀大会でもいいプレーをしていたので。3年生の力を信じ、(5回に)思い切って2年生の津田に代えて、代打を送った。あの場面で代打を送れたことが、8回の攻撃につながったのかなと思います」と笑みを浮かべる。

 投手陣の粘りも光った。先発・山田は立ち上がりこそ不安定だったが、3回から6回まで無失点。7回からマウンドに上がった2番手・岩佐も踏ん張って、大阪桐蔭打線を封じた。「4回、5回、この辺で岩佐にスイッチしようかと思ったんですが、山田が『調子が上がってきたので投げさせてほしい』と懇願してきまして。6回も良かったので、もう少し引っ張ろうかという思いもあったんですが、彼も『7回から岩佐さんで』ということで」と舞台裏を明かし、「あそこまで投げ切れたことが結果的に勝ちにつながった」と粘投の2年生右腕を称えた。

 これで準々決勝進出を果たした18年以来、3年ぶりの16強。「選手に感謝というか、彼らをより信じて次の試合に臨んでいきたいと思います」。監督も舌を巻く粘りで優勝候補の大阪桐蔭を撃破。この勢いで頂点まで突っ走りたい。 

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