阪神 開幕投手は9年目・藤浪に決定 初の大役抜てき、矢野監督「総合的にいろいろ考えた結果」

[ 2021年3月9日 05:00 ]

<阪神>開幕投手を務める藤浪
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 阪神の藤浪晋太郎投手(26)が3月26日のヤクルト戦(神宮)で開幕投手を務めることが8日、決まった。矢野燿大監督(52)が本人に通達したことを明言。過去2年間でわずか1勝の右腕を異例の抜てきとなる。9年目右腕は自身初の大役。逆襲を期すシーズンを“最高のマウンド”からスタートさせる。

 驚きと高揚が激しく交錯する。プロ9年目で初めて託される開幕投手。近年不振に苦しみ、昨年までの2年間でわずか1勝の藤浪がそのマウンドに上がる意味と意図とは――。矢野監督は自ら明かす形で「開幕・藤浪」をはっきりと明言した。

 「(自ら切り出し)開幕投手は晋太郎にしたから。総合的にいろいろ考えた結果。晋太郎でいってみようかなと。(本人にも)伝えた」

 大本命ながら、ぜん息の検査でキャンプを途中離脱していた西勇が5日の同戦に先発して2回を零封。不安を払しょくした後だっただけに、インパクトは大きい。

 指揮官は「(藤浪の投球を見てかと問われ)もちろん。無理やったらせえへん」と現状を判断材料に指名したことを強調した。ただ、青柳、秋山ら有力候補も控えていた中での抜てきには、決してコンディションだけでない藤浪晋太郎の持つ「ストーリー」や唯一無二の力もある。矢野監督は続けた。

 「あいつも苦しんだ中からここまで来たのもあるし、このキャンプの姿を見ても、あいつに開幕(を託す)。エースは勇輝(西)だから。その中でチーム全体を考えた時、シーズン終わる時に(西勇に)追いつけ、追い越せという投手になってもらいたい。俺らが優勝するということも含めて総合的に俺が考えた結果、そうした」

 復活を待ち望まれる26歳が、21年の初陣で白星を挙げることで生まれるチームへの推進力は計り知れない。大黒柱の西勇に続く存在も求められ、その背中にかかる期待は大きい。開幕戦だけでなく、16年ぶりのリーグ優勝やチームの未来を見据えての起用と言える。

 「必然」だったと証明するのは藤浪自身だ。昨季終盤に悩み続けたフォームの土台を定め、今春はワインドアップに挑戦。変化球の精度向上につとめ、直球に頼らないスタイルを目指して実戦でも4試合計12回1失点と好投を続けている。

 キャンプ中のスポニチ本紙のインタビューでは「自分が成績を出して、勝手にエースと呼ばれるぐらいに数字で示せるように。ただひたむきに野球に取り組みたい」と決意を明かしていた右腕。底力を示す1年は、大一番から幕を開ける。(遠藤 礼)

 《前年1勝以下は球団初》昨季1勝6敗の藤浪(神)が開幕投手に決定。1950年の2リーグ制以降、前年1勝以下の投手が開幕戦で先発すると、14年川上憲伸(中)以来7年ぶりで、阪神では初めてになる。

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2021年3月9日のニュース