福留背番号「8」継承 阪神ドラ1・佐藤輝 “限界つくらず”新人王狙う「無理だと思わずにやりたい」

[ 2020年11月13日 05:30 ]

<阪神ドラフト1位・佐藤輝(近大)仮契約>    仮契約を結んだ阪神ドラフト1位・佐藤輝(近大)     (撮影・成瀬 徹)  
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 阪神からドラフト1位指名された近大・佐藤輝明内野手(21)が12日、大阪市内のホテルで入団交渉し契約金1億円プラス出来高払い5000万円、年俸1600万円(金額はいずれも推定)の球団史上最高総額で仮契約した。背番号は今季限りで退団する福留孝介が付けていた「8」に決定。1年目からの活躍を期し「最強の新人王」から虎史上「最高のエイトマン」を目指すことを誓った。

 ともに最高条件だった契約金、年俸とともに、期待値の大きさを改めて感じたのが提示された背番号8。今季まで球界現役最年長の福留が付けた、伝統と重みある数字に佐藤輝は堂々とした口調で「継承」を宣言した。

 「福留選手が付けていた番号なので、すごい光栄なことだと思います。(福留は)球界を代表する選手なので、そのような選手になれるよう8番を付けて頑張りたい。本塁打を打てるし、2000本も打っている方。参考にする部分は多いと思います」

 日米通算2407安打を誇るレジェンドと同じ右投げ左打ちの強打者。1メートル87、94キロの恵まれた体格から繰り出すパンチ力で関西学生野球で22年ぶりにリーグ記録を更新する14本塁打を放ち、50メートル6秒0の俊足に遠投100メートル超の強肩と攻走守3拍子がそろう。リーグ優勝した巨人、ソフトバンクなど4球団競合の末に射止めた逸材だけに、発する言葉も決して夢物語ではないと感じる。

 猛虎の「8」は、主砲として64年に31本塁打を放ちリーグ優勝の原動力となった山内一弘、03年のリーグVに貢献した片岡篤史(本紙評論家)ら歴代の強打者も背負った。球史に名を残したい思いがあるか問われると、力強く「あります」と即座に答えた。

 その一歩となる来季。意気込みを聞かれ「具体的な数字は分からないですけど」と前置きした上で「新人王を獲れるように」と、球団では16年高山以来の“奪取”を誓った。

 猛虎史を塗り替える可能性を秘めるスラッガーだけに、ただ新人王になるだけでは虎党も物足りないはず。矢野監督から「40本塁打、40盗塁」指令を受けており、打撃3部門に盗塁を加えた4部門全てで歴代新人記録を更新するほどの活躍が見たい。打率・341(46年グレートリング・田川豊)、本塁打31(86年西武・清原和博ら2人)、打点111(49年大映・大岡虎雄)、盗塁56(97年ロッテ・小坂誠)。いずれも途方もない数字だが「限界をつくってしまうのは自分なので、無理だなとか思わずにやっていきたいですね」と福留が若手に贈った言葉に呼応した。

 「結果を残すことが一番ファンの方も喜んでくれると思う」

 期待を一身に集める大器が有言実行を果たした時、05年以来のリーグ優勝とともに、猛虎史上最高の「エイトマン」への扉が開く。 (須田 麻祐子)

 《休まず自主トレ中》大学最後の大会だった関西地区大学野球選手権で優勝を果たした後、佐藤輝は奈良県生駒市の近大グラウンドでウエートを含めたトレーニングに励んでいる。「試合はないんですけど、しっかり練習をしています」。年明けの1月から新人合同自主トレが始まり2月には春季キャンプが控えるだけに「ケガしないように準備をしていきたい」と細心の注意を払い有意義な時間を過ごしていく。

 《徳勝龍も「いい番号」》今年初場所で幕尻優勝した近大出身の幕内力士・徳勝龍が佐藤輝の背番号決定を喜んだ。「いい番号で似合いそう。ピッタリじゃないですか」。この日、東京・両国国技館での11月場所5日目の取組後、報道陣の取材に答えた。奈良県で過ごした少年時代は相撲、柔道と並行して軟式野球にも励んだ。優勝翌日の会見では「始球式というよりプロの球を受けたいですね。ピッチャーの球をバシッと受けたい」と“逆始球式”を自ら志願していた。

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