広島・田中法 強心臓の無失点デビュー! 正捕手・会沢に首振り変化球要求 来季V奪還の戦力だ!

[ 2020年10月30日 05:30 ]

セ・リーグ   広島3-3ヤクルト ( 2020年10月29日    マツダスタジアム )

<広・ヤ23>6回2死、代打・長岡を二ゴロに打ち取りベンチに戻る田中法 (撮影・奥 調)
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 広島・田中法彦投手(20)は、29日のヤクルト戦でプロ初登板し、1イニングを3者凡退に抑えた。2018年ドラフト5位で入団した高卒2年目右腕。今季のウエスタン・リーグ最多12セーブを挙げて初昇格を勝ち取った。今季10人目の1軍デビュー。来季のV奪還への戦力になろうとする新星がまた現れた。

 田中法は、度胸がいい。「ブルペンの方が緊張した」。0―3の6回のマウンドに向かう頃には、平常心だった。先頭の広岡、古賀に、全7球を直球でいずれも左飛。しかし、押し込んだ手応えよりも「制球できていない」。3人目の代打・長岡には、正捕手・会沢に首を振り、変化球を要求するところも腹が据わっていた。フォーク、カーブを使い、フルカウントからの7球目はチェンジアップで遊ゴロ。3者凡退でデビュー戦を終えた。

 「最後は変化球を低めに投げ切れた。やってきたことは出せたのかな…と思います」

 2軍では今季から抑えを任されて、ウエスタン・リーグ25試合で防御率1・73。16日の初昇格から出番がなく、前回の2軍戦登板から中15日と実戦から離れた。不規則な調整でも動じなかったのも強心臓ゆえだろう。

 出身の菰野高校は、公立校ながら阪神・西勇を筆頭に有力な投手を多数輩出することで知られる。練習場にはスピードガンが常設され、自身の球速が常に表示されるのが特徴。球速と向き合い続ける環境の中で、自らも自然と速さを求めた。高3夏には、最速152キロを計測した。「155キロを出して、2年目までにデビューしたい」。そんな青写真通りにはいかなかった。

 新人だった昨季に自分を見失った。「フォームが分からなくなって、スピードも出なくなった」。自慢の直球は、140キロ前半にまで落ち込んだ。復調のきっかけは、昨季限りで現役を引退した永川2軍投手コーチからの助言だった。「肩の開きが早いよ」。コロナ禍での開幕延期期間を利用して、徹底的に体にすり込ませた。

 「ナガさんからずっと言われてきた。自粛期間に取り組めたのが大きかった。これまで安定していなかった部分が良くなってきたのかなと思います」

 この日の最速は、145キロだった。「まだ納得する球速も出ていない。そこだけではなくて、全球種で勝負できるようにしたいです」。デビュー戦で見せたのは、非凡な才能のほんの一部だったのかもしれない。 (河合 洋介)

 ◆田中 法彦(たなか・のりひこ)2000年(平12)10月19日生まれ、三重県出身の20歳。川越北小1年から川越北野球少年団で野球を始める。川越中では三重川越ヤングでプレー。菰野では1年秋からベンチ入りし2年秋から背番号1も甲子園出場なし。18年ドラフト5位で広島入り。今季はウエスタン・リーグ25試合でリーグ最多の12セーブ、防御率1・73。1メートル73、83キロ。右投げ右打ち。

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