東農大北海道オホーツク・中川 イップス克服150キロ右腕「よくここまでできた」

[ 2020年10月21日 05:30 ]

ドラフト会議で指名を待つ東農大北海道オホーツクの選手たち(左から中川、ブランドン、中村、前田)(撮影・石川加奈子)
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 26日のドラフト会議に向け、東農大北海道オホーツクからは5選手がプロ志望届を提出した。北見工時代に最速146キロをマークしてプロから注目された中川裕元投手(4年)は、大学入学後に苦しんだイップスを克服。今秋のリーグ戦で公式戦初登板して150キロの大台に到達し、ワンチャンスに懸ける。

 大学最後の年にイップスを克服した中川の表情はすっきりしていた。「目標にブレずに、よくここまでできたなと思う。懸けてみたい」。今秋のリーグ戦で初めてベンチ入りして3試合に登板、3回1/3を無安打無失点と結果を出した。最速も150キロをマークし、プロ志望届を提出した。

 野球をやめたいと思う時間の方が圧倒的に長い4年間だった。北見工2年夏にエースとして北北海道大会4強入りし、プロからも注目された。最速146キロ右腕として鳴り物入りで大学に入学したが、実戦初戦でつまずいた。初球の直球が、バックネットの上部20メートル付近に当たったのだ。

 進化を求めてフォームのバランスを崩したことが原因だった。真面目な性格だけに悪循環に陥った。今でこそ「ストライクゾーンを20メートルから縮めてきた」と笑い話にするが、打撃投手を務めた時にボールが打撃ケージの上を通過した時には、トイレで1人で泣いた。2年時には最速118キロしか出なかった。

 映像を見ながら、理想と現実のギャップを埋める地道な作業を続けた。一つの動きができるようになったら、それをフォームに落とし込んでから次に進む。「ミシンで一針一針縫うような作業だった」と中川は振り返る。

 3年秋から実戦で投げ始め、今春の沖縄キャンプでは上々の仕上がり。コロナ禍で春季リーグが中止になっても諦めなかった。「秋が終わるまではプロを目指す。1大会しかないので、度肝を抜かないと」と執念で競争を勝ち抜き、秋季リーグで集大成を見せた。「新しい自分が見つかった」という確信を手に入れ、次のステージへの切符を静かに待つ。

 ≪ドラフト1位候補の早大・早川にライバル心 高3夏に敗退≫最速151キロの中村亮太投手(4年)は、ドラフト1位候補の早大・早川にライバル心を燃やす。千葉経大付3年夏の千葉大会準決勝で早川擁する木更津総合に逆転負け。「絶対にいつか勝ちたい」とプロでの再戦を思い描いて北海道にやって来た。阪神監督などを務めた故中村勝広氏は父・隆一さんのいとこで、小学生の頃には野球を教えてもらった。偉大な親戚の後を追い、プロの世界に飛び込む準備はできている。

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