プロ野球史上初 コロナ拡大でOP戦&教育L105試合無観客…開幕延期も想定

[ 2020年2月27日 05:30 ]

都内で行われたプロ野球12球団代表会議(撮影・西海健太郎)
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 プロ野球は26日、新型コロナウイルス感染拡大を受け、東京都内で斉藤惇コミッショナー(80)も参加して臨時の12球団代表者会議を開き、29日から3月15日までの残りオープン戦72試合を全て無観客試合で実施することを決めた。2軍の春季教育リーグも全試合を無観客で行う。公式戦は3月20日にセ、パ両リーグで同時開幕を目指すが、開催の可否は12球団で対策委員会を設置し、今後の状況を見定める方針だ。

 実行委員や理事、球団社長も参加した異例の会議は、午後4時から2時間近く行われた。斉藤コミッショナーは今後のオープン戦を無観客試合とすることを発表し、決断に至った理由を説明した。

 「コロナウイルスの感染がこれ以上拡大しますと、まさしく国難といえる事態に陥りかねない。プロ野球が感染拡大を防ぐためにできることは何であるかと考えまして、苦渋の決断をいたしました」

 既に沖縄、宮崎で14試合のオープン戦を消化し、記録が発生していることから無観客であっても練習試合ではなく、オープン戦として扱われる。日本野球機構(NPB)によると無観客試合実施はオープン戦、公式戦を通じて史上初めて。ただ、地方試合などの開催地についてはNPBの井原敦事務局長が「主催球団の判断になる」と話した。早くも広島は3月8日の西武戦(福山)を場所を変更して開催することを決め、松田元オーナーは「(本拠の)マツダスタジアムでの手配を整えている」と明かした。

 2軍の春季教育リーグも29日から3月12日までの全33試合を同様に無観客で行うことになった。24日に専門家らによる政府専門家会議が「これから1~2週間が急速な拡大か、終息かの瀬戸際」と指摘。25日には政府が対策の基本方針を決め、この日、安倍晋三首相が「全国的なスポーツや文化イベントについて、今後2週間は中止や延期、規模縮小の対応を要請する」と表明したことも受け、「断腸の思い」(斉藤コミッショナー)という決断で全会一致した。

 現時点では3月20日に開幕するセ、パ両リーグ公式戦の実施を目指すが、2週間たっても好転しない可能性もある。会議では選手、スタッフらに感染者が出た場合の話にも及んだ。阪神の谷本修球団本部長は「考えていかないといけない。日程再編も含めてね。既にセ・リーグは検討に入ってくれている」と開幕延期という最悪の事態も想定している。

 今後は感染症の専門家などを交えた12球団の対策委員会を設置し協議する。1週間ごとに推移を見守る方針で、ガイドライン策定も行う。斉藤コミッショナーは「3月20日はできればやりたいという気持ちは強い」と話したが、ギリギリまで開催の可否を見極めることになる。 (倉橋 憲史)

《観客数96%減》昨季オープン戦の観客数は、全95試合で合計175万9058人。今季は以後72試合を無観客試合としたため、既に開催された14試合での7万3837人が全てとなり、前年からは168万5221人もの大幅減少(96%減)になった。仮に残り72試合に、昨季オープン戦の1試合平均に当たる1万8516人が入場したとすると、さらに133万3152人の観客を動員できるはずだったが、それが0人になってしまった。なお、東日本大震災が起こった11年のオープン戦は67試合で打ち切られ、観客動員数は合計88万8802人だった。

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