群馬・樹徳野球部―井達監督4年半ぶり復帰で復活の兆し

[ 2019年12月11日 12:31 ]

チーム一丸で「来年こそ復活のシーズン」と意気込む樹徳ナイン
Photo By スポニチ

 【伊藤幸男の一期一会】27年間、甲子園から遠ざかっている群馬・樹徳が「ワンチーム」で復活の階段を一歩ずつ上っている。

 昨夏は群馬大会2回戦で敗退。同年秋は準々決勝まで進出したが、力尽きた。今年4月、井達誠監督(45)が4年半ぶりに指導者へ復帰。個々の能力に頼りがちだったナインが取り組んだのは私生活から行動を共にし、チームの下に個人があるという「意識改革」だった。

 捕手の新井圭悟主将(2年)が言う。「全員が同じ方向を向かないと、結果はついてこないし、周囲から応援もされない。去年と比べると力はないと思いますけど、その分粘りはあると思う。それが共通認識ですかね」。

 春季県大会4強、夏同8強に残った主力が抜けた今秋こそ、理想の戦いがみえた。初戦・西邑楽戦は立ち上がりからバッテリーが乱れたが9―3で振り切った。準々決勝・館林戦も5―1と逆転勝ちした。しかし部員26人と戦力層の薄さが響き、準決勝・桐生第一は0―14で完敗。関東大会進出最終枠をかけた3位決定戦・高崎健康福祉大高崎戦も1―8のコールド敗退と散った。センバツへの希望は断たれたが、その健大高崎が関東大会Vから明治神宮大会も最後は中京大中京(愛知)に敗れたが、準優勝と健闘した。

 ナインも刺激を受けた。「健大高崎はピンチでも動揺せずゼロでしのぐと、チャンスは走塁から泥臭くつないでいるように見えた。ボクらはきれいな得点にこだわりすぎていたのかも」。来春のセンバツ有力候補となった桐生第一、健大高崎との差を埋めない限り、頂点には届かないことを再確認した。

 樹徳は1991年、92年夏、戸部浩(元ロッテ、現ソフトバンク打撃投手)を擁し甲子園に出場している。92年度の主将は井達だ。2008、09年夏には群馬大会決勝まで進出したが、あと一歩届かなかった。

 「入学最初の頃は高い意識がなかったけど、先輩が引退して甲子園への意識は強くなりました」と新井。桐生第一のエース宮下宝は中学時代クラブチームでバッテリーを組んでいたとあり「応援するけど複雑な気持ち」でセンバツをテレビ観戦する。

 桐生市を一望できる高台に位置する同校グラウンドには「74回大会全国高校野球選手権出場」の木製記念碑が立てられている。4分の1世紀を経てもモニュメントは風雨にさらされながらしっかり立っている。
   

続きを表示

2019年12月11日のニュース