【令和新時代 夏のメモリー】鳴門・西野知輝投手 7試合61イニング「力負け」でも充実感

[ 2019年8月15日 08:00 ]

第101回全国高校野球選手権大会 第9日2回戦   鳴門5―8仙台育英 ( 2019年8月14日    甲子園 )

<鳴門・仙台育英>仙台育英に敗れて甲子園を去る鳴門・西野(撮影・成瀬 徹) 
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 ついにマウンドを降りた。この夏初めて。ずっと一人で投げてきて、最後はベンチで迎えたゲームセット。それでも、鳴門(徳島)の左腕・西野知輝には充実感があった。

 「自分は力負けなんですけど、野手は頑張ってくれたので申し訳ないです。これだけ打たれたら交代も仕方ない」

 潔く、エースは敗戦を受け入れた。仙台育英(宮城)の強力打線に13安打を浴びて8失点。1回戦(対花巻東)の154球に続き126球を投げた。5試合(44イニング)完投した徳島大会と合わせて7試合61イニングの熱投。62イニング目のマウンドはなかった。

 今大会、地方大会を一人で投げ抜いたのは西野だけ。「去年は悔しい思いをした。今年は一人で投げ切る強い気持ちを持っている」。そう話してここまで来た。体力不足を実感した昨夏。徳島大会で思うように投げられず甲子園でも8失点で逆転負けした。だから冬場は走り込みで徹底的にスタミナづくり。今夏の徳島大会は試合の前日と当日に疲労回復に効果があるとされる豚肉の冷しゃぶを食べてきた。

 高校野球は令和に入って、球数制限の導入の可能性が高まっている。でも、西野は完投にこだわった。今夏は163キロ右腕の大船渡・佐々木が岩手大会決勝を欠場。賛否両論あるが「プロのトップでやれると言われる人とは違うと思う。何も言えない」と言った。

 9回にマウンドを譲ったのは「投げたい」と話していた竹内だった。ベンチから、西野は力いっぱい声援を送った。 (秋村 誠人)

 《地方大会唯一全試合完投》今夏、地方大会で合計イニング数が40回を超えたのは44回(5試合)の西野を含めて9人いる。最多は60回(7試合)の北照・桃枝で、以下は国学院久我山・高下(6試合47回)、静岡・松下(6試合46回)、西野(44回)、誉・杉本(8試合44回)、筑陽学園・西舘(7試合43回1/3)、富島・黒木拓(5試合42回)、前橋育英・梶塚と立命館宇治・高木(ともに5試合40回)。ただ、一人で全試合完投は西野だけだ。

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