“ハリー”張本氏「大あっぱれ」メジャー最多はローズで世界一はイチロー

[ 2016年6月17日 05:30 ]

09年、イチロー(右)が日米通算で張本氏の3085安打の日本記録を塗り替えた際、張本氏は直接祝福に訪れた

ナ・リーグ マーリンズ3―6パドレス

(6月15日 サンディエゴ)
 3085安打の日本歴代最多記録を持つ、スポニチ本紙評論家の張本勲氏(75)もイチローの歴史的偉業を称えた。09年、日米通算で自身の記録を抜かれた際にはシアトルで生観戦。その時から「次は世界一を狙え」と激励してきただけに、「大あっぱれ!」と賛辞を贈った。

 どうだアメリカ、参ったか!そう言いたいね。イチローには「おめでとう」より「ありがとう」との言葉を伝えたい。記録については米側にも言い分はあるだろうが、メジャー最多はピート・ローズで、世界一はイチロー。そう考えればいい。「認めない」と言っているピート・ローズは「大喝」ですよ。ワンちゃん(ソフトバンク・王貞治球団会長)の868本塁打と合わせて世界記録が2つ。こんなに痛快なことはない。まさに「大あっぱれ」。日本球界は鼻高々ですよ。

 78年。私が巨人に在籍していた時、日米野球でレッズが来日した。ピート・ローズとは対談をした記憶があるし、バットももらった。驚かされたのは、彼の目の良さだ。トス打撃では、バットを横にして先端でボールを当てる。あんな練習は初めて見た。ボールを捉える天性のものを持っていたのだろう。まさにイチローと同じだ。

 イチローは、打者として不利な打ち方をしている。本来なら、投手との距離を少しでも取って、ボールを見る時間を長くしたい。しかし彼は投手寄りに向かっていく。動くボールを、動きながら打つ。並外れた動体視力と瞬発力のたまものだ。

 スーパースター。そう呼ばれる人は、実は豪快ではなく繊細なもの。だから自己管理が徹底できる。42歳。「凄い」と感嘆せざるをえない。こんな選手は、向こう100年出てこないだろう。

 7年前。シアトルで私の記録を抜いた瞬間をこの目で見た。その時から「いつかは世界一に」と願っていた。イチローは日本プロ野球の名を世界にとどろかせてくれた。今後は未踏の大地が待っている。いつまでプレーを続けるかなどは、我々がどうこう言うことではない。本人の気持ち次第。私自身は、いつの日か日本で指導者になってほしい、と思う。(スポニチ本紙評論家)

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