慶大・小原大 先月急逝父に贈る初勝利 花巻東で大谷と同学年

[ 2016年4月11日 05:30 ]

<法大・慶大>1回無死、法大・大西千を三振にしとめる慶大先発・小原大

東京六大学野球第1週最終日 慶大8―2法大

(4月9日 神宮)
 2回戦2試合が行われた。慶大は花巻東(岩手)で大谷(現日本ハム)と同学年だった左腕・小原大樹投手(4年)が、5回2失点でリーグ戦初勝利。連勝で勝ち点1を挙げた。早大は東大に連勝して勝ち点。石井一成主将(4年)が今季1号の右越えソロを含む3安打5打点とけん引した。

 慶大・小原大の目に、うっすらと涙が浮かんだ。5回2失点で、3月26日に亡くなった父・誠さん(享年57)へささげるリーグ戦初勝利。「ウイニングボールは絶対父に届けたいと思っていた。味方のバックアップのおかげ」と仲間に感謝した。

 盛岡三(岩手)で体育教師だった誠さんは、一番の応援団だった。今年1月に末期がんが発覚。「酸素ボンベしてでも神宮に行く」と意欲的だったが、3月に容体が悪化した。小原大が米国キャンプから帰国し、ようやく対面すると「何があっても野球を続けろ。兄弟とお母さんを頼むぞ」と託し、息を引き取った。

 「厳しい父だったけど、おかげで頑張れた」。初回に4連打で2点を先行されてもめげなかった。神宮に来た母・祥子さんに遺影を持っての観戦を頼み、形見の腕時計をバッグにしのばせた。「父に助けを求めるんじゃなく、見ててくれと思った」。慶大に入学したばかりの次弟・和樹内野手もスタンドで見届けた。

 花巻東では2度甲子園に出場し、2年夏の帝京との1回戦では故障明けの大谷に代わって先発した左腕。父とつかんだリーグ16戦目での初白星に「優勝して、父との約束だったプロ入りの夢をかなえる」。涙を拭いた目に輝きがあった。(松井 いつき)

 ▼母・祥子さん(勝利球を手渡されて涙)主人もきっと見ていてくれたと思う。厳しい人だったけれど、最後まで息子たちを応援していた。

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2016年4月11日のニュース