イチ足で魅せた!一塁到達3秒90“わりかし速い”どころじゃない

[ 2016年3月9日 05:30 ]

ナショナルズとのオープン戦に出場するイチロー(AP)

オープン戦 マーリンズ4―7ナショナルズ

(3月7日 ビエラ)
 不惑を超え、惑わずどころか、加速した。マーリンズ・イチロー外野手(42)が、7日(日本時間8日)のナショナルズ戦で衰えない健脚を披露した。3回の第2打席で二塁内野安打を放ち、一塁到達タイムは3秒90をマーク。4秒を切れば、トップクラスの俊足とされる基準を大きく上回った。昨季はメジャー全体でも平均タイムでベスト5に入る3秒98を残したが、42歳はキャンプ序盤のこの時期に悠々と上回ってみせた。

 イチローは低い前傾姿勢を保ちながら、頭が上下動しない理想的な走りで一塁を駆け抜けた。3回2死走者なし、外角のチェンジアップを捉えた。中前に抜けそうなゴロは二塁手が止めたが、送球は間に合わない。打席から一塁到達のタイムは3秒90を記録した。

 42歳のスピードは輝き続けた。次打者ロハスのゴロを二塁手マーフィーは「イチローの足が気になった」と大きくはじいた。イチローは一気に三塁へ(記録は安打と二塁失策)。続くイエリチの適時打で今季初得点となるホームに生還した。

 打者の一塁到達は、4秒を切り3秒台なら俊足とされる。大リーグが昨季から導入した計測システム「スタットキャスト」によれば、イチローの昨季一塁到達平均3秒98は両リーグ通じて5位タイ。全て20代の若手に交じって名を連ね「40代にして!」と大リーグ公式サイトも驚きをもって報じた。その自己平均を調整段階の3月初旬に突破。周囲に「肉体的な衰えは感じていない」と話してきたイチローだが、何よりも正直で雄弁な数字という結果で証明した。

 昨季から使用するビモロ社のスパイクは、さらにソール(靴底)部分の柔軟性を増し、疲労を残さない新型へと改良した。この日は正右翼手の主砲スタントンが右膝痛を訴え欠場。医師の検査を受ける予定で数日間は欠場が続くという。イチローの第4の外野手という立場は変わらないが、昨年同様いつ声が掛かってもおかしくなく、万全の備えでその時を待ち続ける。昨季の指揮官で、今季から対戦したナショナルズのGM特別補佐に就任したダン・ジェニングズ氏は「素晴らしいし、美しいな。本当に足が速いよな」と感心しきり。同地区で対戦試合数は多いだけに警戒を強めた。

 一塁への到達タイムは内野安打を呼び、結果的に安打数を積み上げていくのに欠かせない。メジャー通算3000安打の大台にはあと65本。メジャー通算500盗塁にはあと2個に迫っている。(ジュピター・笹田幸嗣通信員)

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