最年長公式記録員も驚いた 新庄 喜び過ぎてサヨナラ本塁打が単打に

[ 2015年7月2日 12:05 ]

04年9月20日、サヨナラ満塁弾を放った新庄(左)だったが、一走・田中幸と抱き合いクルリ…

 野球は「数字のスポーツ」ともいわれる。プロ野球の世界に欠かすことができないのが、試合を見て、記録を付ける「公式記録員」だ。一般のファンにとってはなじみが薄い記録員の仕事ぶりに密着。裏側から野球界を支える若手、ベテランの2人を取材した。(鈴木 勝巳)

 山田繁記録員は最年長の52歳。26年目のベテランだ。それでも「何試合やっても緊張する。とにかく見逃したら駄目。冷静に、淡々と、です」。1軍では補助員との2人体制。電波時計を常に置き、試合開始時間を待って球審に「0(分)」などと書かれた紙を見せてゴーサインを送る。記録員の合図がなければ、試合は始まらないのだ。

 「本当に“あっ!”と思った。文字ではルールとして分かっていても、実際に起こると慌てる」

 そう振り返るのが、04年9月20日の日本ハム―ダイエー戦(札幌ドーム)。12―12の9回2死満塁で新庄の打球は左翼席へ。一塁走者の田中幸と抱き合い、クルリと回転して新庄が走者を追い越す形となってしまった。サヨナラ満塁本塁打、のはずが新庄はアウトで、記録は単打。目の前で見ていた山田記録員も仰天した出来事だった。

 野球は、記録や数字から想像を膨らませて楽しめるスポーツ。プロ野球の記録を付け続ける記録員は、その歴史の「語り部」ともいえる。「選手が残した、描いた歴史を次の世代に残していく。今まで約5万8000試合…。スコアはほとんど残っています。財産ですね」。記録員は試合前、先発メンバー、審判員とともに球場内に名前をアナウンスされる。それでも、あくまで陰の存在。そして球界に欠くことのできない存在だ。

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