【石井一久氏対談】黒田激白(中)「握りやいろんなものを変えないと」

[ 2015年2月24日 10:01 ]

ツーシームの握りを披露する黒田(右)とスライダーの握りを披露する石井一久氏

 8年ぶりに古巣・広島に復帰した黒田博樹投手(40)が、スポニチ本紙評論家の石井一久氏(41)の直撃インタビューに応じ、本音を語った。昨季までメジャーで5年連続2桁勝利をマーク。空前の黒田フィーバーの中で自らにかかる大きな期待への不安を吐露するとともに、過去の栄光を捨てた新たな投球スタイルの模索、そして「引退」に関する自身の野球哲学などを激白した。今月10日に40歳となった黒田の覚悟とは――。

 石井 順応や適応は一筋縄ではいかない。例えば広島時代はシュートを使っていたが、メジャーでは芯を外しても内野手の頭を越えてしまうため、ツーシームでシンカー気味に落とすようにしていた。

 黒田 そうですね。ボールもメジャーの時と違いますし、変化の仕方も当然違ってくる。投げながら、バッターの反応を見ながらになる。これから実戦に入っていくので握りやいろんなものを変えていかないといけないと思っている。

 石井 僕も日米で経験したが、ストライクの取り方も違う。メジャーでは基本、ストライクゾーンの中で勝負するが、日本では1個外したり、ボール球も使う。

 黒田 そこは完璧に自分の頭の中で何かを変えないといけないという気持ちもある。ゾーンでボールを動かして勝負していくだけだと、日本ではコンタクトしてくる打者もたくさんいる。

 石井 中4日から中6日になった時に僕も長いなと感じた。メジャーでの2試合ぐらいの時間的長さを感じた。

 黒田 実際にメジャーでは中4日、中5日で回っていた。中6日ということは1回あったかどうか。そういう経験を7年間していないので、実際どう感じるかは分からない。体は楽になるとは思うが、その中でどう調整するか。

 石井 あとはマウンドへの対応。

 黒田 細かいボールなり、マウンドはもう少し時間がかかると思う。石井さんは日本に戻られてどう感じましたか?

 石井 日本もマウンドはだいぶ硬くなっている。僕はメジャーは4年だったが、戻った時にだいぶ硬くなったと感じた。引退(13年)の時は、さらにメジャーに近づいていた。でも、ざらつきがない。メジャーではスパイクが破けそうな小石みたいなものがあったけどね。

 黒田 今は沖縄なので、土質もどちらかというと砂地のよう。もう少し踏み出した左足が(土に)しっかりかんでくれればいいかなと思う。そこが物足りない。

 石井 左足がついた時の感じ?

 黒田 そうですね。前に(体重が)乗っていく時にちょっとブレてしまう。現時点で気になっているところ。

 石井 シーズンに入れば本拠地球場はメジャーにそこそこ近いと思う。

 黒田 それなら何とかやれるかな。

 石井 実戦の中でやるべきことは多い。

 黒田 日本のバッターは7年間対戦していない。戦術とか、そういう部分でも、米国とは全然違ってくる。自分でアンテナをしっかり張って情報として入れていかないといけない。

 石井 球種で言えば、細かく変化する球種こそ、打者の反応が大事になる。

 黒田 ツーシームに関しては、打者の反応を見る必要がある。たくさん動いても曲がりが早ければ、打者も反応できる。そんなに動いていないように思えても、打ち損じもある。

 ◆黒田 博樹(くろだ・ひろき)1975年(昭50)2月10日、大阪府生まれの40歳。上宮から専大を経て、96年ドラフト2位で広島に入団。08年からドジャース、ヤンキースで計7年間プレー。今季から広島に復帰した。日本での通算成績は271試合で103勝89敗1セーブ、防御率3.69。メジャー通算は212試合で79勝79敗、防御率3.45。1メートル85、93キロ、右投げ右打ち。

 ◆石井 一久(いしい・かずひさ)1973年(昭48)9月9日、千葉県生まれの41歳。東京学館浦安から91年ドラフト1位でヤクルト入団。02年からドジャース、メッツでプレー。06年に古巣・ヤクルトに復帰し西武時代の13年に現役引退。日本での通算成績は419試合で143勝103敗1セーブ、防御率3・63。メジャー通算は102試合で39勝34敗、防御率4・44。

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