DeNA球界初の女性オーナーは「負けず嫌い」 優勝争いと黒字化意欲

[ 2015年1月17日 05:30 ]

就任会見で笑顔を見せる南場オーナー

 DeNAは16日、親会社の創業者である南場智子氏(52)が新オーナーに就任したと発表した。今年で81年目を迎える日本のプロ野球で女性がオーナーとなるのは史上初めて。南場オーナーは「地方(新潟)出身の私から見ると横浜はクールで格好いい。毎年優勝に絡むようにしないと」と抱負を述べた。

 2012年から初代オーナーを務めていた春田真氏(46)は6月に行われる親会社の株主総会で親会社の会長も退任する予定。シーズン中のオーナー交代を避けるため、この日の臨時株主総会で新オーナーの就任が決まった。

 南場オーナーは99年3月にDeNAを創業し、05年の上場後、7期連続で増収増益と経営手腕を発揮。創業の舞台裏をつづった13年発売の「不格好経営」は大きな反響を呼んだ。カリスマ経営者として知られるが、野球への好奇心も旺盛だ。

 小さい頃は枝豆を食べながら、大ファンの王貞治(ソフトバンク球団会長)、長嶋茂雄(巨人終身名誉監督)をテレビで応援。現在は横浜スタジアムに足しげく通い、変化球の球種にも興味を示す。「ストレス発散でバッティングセンターにもよく行きます」と笑う。

 女性ならでは、の視点は大きなプラスになる。球界参入が承認された11年12月に横浜スタジアムを視察した際、南場氏はトイレに入った後で老朽化による改善を強く進言。「男性より女性ファンの気持ちは分かる。トイレがきれいというのは、女性は敏感ですから。女性がもっと足を運んでもらえるような球場にしたい」と語った。

 球団経営をより安定的に成長させたいDeNAは新規のファンを拡大するために女性ファンの獲得に力を入れている。有名ブランドと連携してバッグなどを発売した。昨年6月末時点でファンクラブの女性会員数が新球団1年目の12年から約4・3倍まで増えた。強烈な後押しもあって昨季の観客動員数は前年比9・7%増の156万4528人。自らの性格を「負けず嫌い」と分析する南場オーナー。TBSホールディングスから球団買収前の約30億円の赤字から15億以上圧縮したが、「まだまだお客さんを増やすことができるし、黒字化も目指したい」。女性オーナーの誕生はビジネスチャンスをさらに広げる契機ともなる。

 ◆南場 智子(なんば・ともこ)1962年(昭37)4月21日、新潟市生まれの52歳。86年に津田塾大英文科を卒業して、米コンサルタント会社マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社。90年に米ハーバード大で経営学修士(MBA)を取得し、その後マッキンゼー・ジャパンの役員に就任。99年にDeNAを設立して社長に就任した。11年6月に病気療養中の夫の看病に専念するために取締役に退いた。2003年に内閣IT戦略本部員、04年には規制改革・民間開放推進会議委員に就任。

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