マー君 全米ひれ伏すNY初勝利 8回零封10K、地元紙「宝石」

[ 2014年4月18日 05:30 ]

<ヤンキース・カブス>ダブルヘッダー2試合目、カブスに連勝し、ジャッキー・ロビンソン・デーで42番を背負ったイチロー(背中)を出迎える田中(左)

インターリーグ ヤンキース2―0カブス

(4月16日 ニューヨーク)
 ヤンキースの田中将大投手(25)が16日(日本時間17日)、カブス戦でメジャー最長8回を投げ、3―0の勝利に貢献。本拠地初勝利で今季2勝目を飾った。2試合連続となる2桁10三振を奪い、バント安打2本のみ無失点と完璧な内容。スライド登板も苦にせず獲得に意欲的だったカブスをねじ伏せた。12年から続くレギュラーシーズンの連勝は30とし、デビューから3戦の奪三振数は、87年アル・ライターの25個を抜いて球団新の28個を記録した。

 解けたのは靴ひもだけだった。8回2死走者なし。ベーカーを2ストライクと追い込んだ田中は右足に「異変」を感じた。「いつもほどけないのに。うわっ、ちょっとここでほどけるのかと思って」。タイムを取った。スパイクのひもを結び直し、最後はスプリットで捕ゴロ。8回107球でマウンドを降りた。

 「この声援、視線があるのに靴ひもを結んでいていいのかなと思いながら…。悪い気がしながらも結びました」

 想定外の出来事におどけたが投球は最後まで乱れなかった。過去2戦は序盤の制球に苦しみ2回までに失点。この日は3回までの打者11人中9人に対し、初球をストライクゾーンに投じた。「気持ちの部分での準備、そういう部分でしっかりと入っていけた」。課題をクリアするとリズムをつかみ、昨年のナ・リーグ中地区最下位のカブス打線を寄せ付けなかった。

 カ軍はセーフティーバントを4度試みるなど攻略の糸口をつかもうともがいた。実際、バント安打は2本。しかし、田中から奪った安打はそれだけだった。2回、レークの三塁線へのバントは素手でつかんで一度はアウトも、ビデオ判定で覆った。7回には3番・リゾが極端な右寄りのシフトでスペースがあった三塁前へ転がした。完全に逆を突かれた形だったが、チーム屈指の強打者がプライドを捨ててまでバント安打を狙った事実が、田中の凄さを際立たせた。地元紙のスター・レジャー紙も「宝石のような美しい投球で3―0でカブスに勝利」との見出しで絶賛した。

 ブルペン入りした12日、制球を乱していた体の開きを意識。ブルペン以外でも、肩を回転させる動作を繰り返した。「自分で分かっている部分があるんです」と、導き出した答えは左腕の使い方。投球時に三塁ベンチ方向に出すグラブが高い位置で一瞬、止まるようにみえると左肩の開きを抑えタメができる。19勝を挙げ初めて沢村賞を獲得した11年の好成績を導き出したフォームだ。「満足度の度合いはよく分からないけど、いい形でいい結果を出せたことは良かった」。過去2戦よりも左腕がしっかり止まった理想型だった。

 雨で予定の試合が中止となり、チームは2試合を戦うことになったが「1試合目で早々先発が崩れる訳にはいかない」と8回まで投げ、中継ぎの起用も最小限で済ませた。次戦の登板予定は22日(日本時間23日)の敵地レッドソックス戦。大歓声から一転、大ブーイングのマウンドで、30連勝男の本領が発揮される。

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