佐野日大 田嶋 毎回12K完封!憧れの松井裕以来の快投

[ 2014年3月24日 05:30 ]

<佐野日大・鎮西>鎮西打線を5安打で完封した佐野日大・田嶋

第86回選抜高校野球大会1回戦 佐野日大2―0鎮西

(3月23日 甲子園)
 1回戦3試合が行われた。第3試合では今秋ドラフト上位候補に挙がる佐野日大(栃木)の田嶋大樹投手(3年)が鎮西(熊本)戦に先発。毎回の12三振を奪い、5安打無四球で完封勝利を収めた。また、第1試合では昨秋の明治神宮大会王者・沖縄尚学が報徳学園(兵庫)を1―0で下し、2回戦に進出。「沖縄のライアン」こと山城大智投手(3年)が完封し、3度目のセンバツ制覇へ向けて好スタートを切った。

 大会No・1左腕と称されるプライドをのぞかせた。2―0の9回。田嶋は2死から初めて連打を浴びた。「必ずゼロに抑える」。5番・藤嶽に対して直球勝負。3球続けて空振り三振を奪った。

 「ヨッシャー!」。左拳を力強く握り、叫んだ。「最後が一番苦しかったので、できれば三振を取りたかった。凄く気持ち良かった」。試合後、ポーカーフェースは崩さなかったが、言葉から喜びがにじみ出ていた。

 序盤は直球が浮き、2回は先頭に安打を許した。「送らせない」。最大の武器、スライダーが威力を発揮する。左打者の外角へ逃げるように投じ、バントの打球は投前に転がった。猛然と駆け降り、二塁封殺。乗った。次打者を自己最速タイの145キロで空振り三振を奪うと、4者連続三振。毎回の12奪三振で、4つはスライダーで奪った。

 宝刀は同じ左腕で憧れの人から学んだ。昨春の関東大会。田嶋は専大松戸に敗戦後、次の試合で見た桐光学園・松井(現楽天)のスライダーに目がくぎ付けになった。「あんな球を投げたい」。松井の投球をビデオで見続けた。鋭く落ちる軌道をイメージしながら投球練習した。「松井さんは切れが凄い。もっと磨かないと」。スライダーは松井を参考にした縦変化、そして横と斜めと3種類を操るようになった。毎回奪三振での完封はセンバツ7年ぶり。夏の甲子園も含めると、くしくも松井が12年に大会新記録の22三振を奪って以来だ。しかも、無四球で三塁を踏ませなかった。

 ケガの功名もある。昨秋の関東大会で左足首を痛めた。冬場は走り込むことができず、筋力トレーニングで背筋を鍛えた。もともと関節が柔らかく、テークバックで左腕が体のラインからはみ出し、球の出どころが見やすかった。求めたのはロッテ・成瀬のように左腕が体に隠れるフォーム。テークバックをコンパクトにし、背筋が強くなったことで威力を落とさず投げられるようになった。

 「ゼロにこだわって投げていきたい」。甲子園にまた一人現れたヒーローは、完封にこだわる。

 ▼佐野・日大佐川(先制2点打を放ち、捕手としても田嶋をリード)田嶋を楽にできた。

 ▼巨人・山下哲治スカウト部長 右打者の内角にクロスして入ってくる球がいい。上位候補に入ってくる。

 ▼西武・鈴木葉留彦球団本部長兼編成部長 真っすぐと変化球が同じ腕の振りで投げられる。伸びしろがある投手。

 ≪田嶋 大樹(たじま・だいき)≫

 ☆生まれ 1996年(平8)8月3日、栃木県宇都宮市生まれの17歳。

 ☆サイズ&投打 1メートル82、76キロ。左投げ左打ち。

 ☆球歴 小3から野球を始め、中学時代は鹿沼ボーイズに所属。3年夏にAA世界選手権(メキシコ)に出場し銅メダル獲得。佐野日大では1年夏からベンチ入り。

 ☆趣味 バスケットボール。

 ☆好物 母・美知さん(46)の手料理で、煮込みハンバーグとパスタ類。

 ☆好きな言葉 感謝。

 ≪桐光学園・松井以来≫佐野日大の田嶋が毎回の12奪三振で完封勝利。センバツで毎回奪三振しながら完封勝利は、07年に常葉学園菊川・田中が今治西との2回戦で17奪三振して以来7年ぶり。夏も含めると、12年に桐光学園・松井が今治西との1回戦で大会新記録の22三振を奪って以来になる。

 ≪栃木では初≫白鴎大足利、佐野日大の栃木勢2校がそろって勝利。センバツで同じ都道府県の学校による同日勝利は、03年徳島(鳴門工と徳島商)以来11年ぶりで、栃木では初。栃木の2校がともに初戦を突破したのは、00年国学院栃木と作新学院以来2度目。

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