マー君 14年メジャー移籍「ないことはない」

[ 2012年12月23日 06:00 ]

更改を終えた田中は伊達政宗の三日月のかぶとをかぶりシャボン玉を作る

 楽天・田中将大投手(24)が、2014年シーズンにもメジャー移籍する。同投手は22日、仙台市内の球団事務所で契約更改交渉を行い、8000万円増の年俸4億円の3年契約で更改した。交渉では将来的に大リーグに挑戦する意思を伝え、球団側も了承。早ければ来オフにポスティング・システム(入札制度)で移籍する可能性が浮上し、来年3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)は世界にアピールする絶好の場となる。

 契約更改後の会見。無数のフラッシュを浴びた田中が、真っすぐな視線で大リーグ挑戦の意向を表明した。

 「球団に将来的に希望を持っていると伝えました。伝えてみようと思ったのは今年。やってみたい気持ちが強く芽生えたので早いうちに伝えておこうと」。さらに来オフの移籍の可能性についても「ないことはないです」と続けた。

 球団と結んだのは、順調なら海外フリーエージェント(FA)権を取得する15年までの3年契約。ただし、各シーズン終了後に球団と大リーグ移籍について会談が持たれ、契約を見直せる付帯条項が加えられた。つまり、メジャー挑戦を決断した時点で契約途中であっても破棄できることになる。球団側も田中の意思を尊重する意向で、容認すれば、来オフにも入札制度での移籍が可能となる。

 「初めから憧れがあったわけではない」という大リーグへの造詣が深まった背景を、田中自身は「野球界に限らず、僕と近い世代の方々が世界の舞台で活躍している」と説明した。サッカーではマンチェスター・ユナイテッドの香川、ゴルフでは石川遼らがいる。もちろん、一番の刺激はメジャー1年目の今季に16勝を挙げたレンジャーズのダルビッシュの存在だ。今年1月には合同自主トレを行うなど公私ともに兄貴分として慕う右腕の活躍で、これまでよりも大リーグが身近になり、思いは膨らんだ。

 その田中にとって来年3月のWBCはメジャー移籍実現への第1歩となる。あるア・リーグ球団のスカウトは「WBCは各国のスター選手を一気にチェックできる重要な機会。タナカは全30球団が注視している」と明かす。松坂も06年大会で活躍し、同年オフに入札制度でレッドソックスに移籍。ダルビッシュも09年大会の活躍で米球界に名を売った。ローリングス社製のWBC使用球はメジャー公式球と同じ。別の球団幹部が「日本人投手が過去に苦しんできたボールへの対応も見てみたい」と話すなど、WBCの結果は各球団の大きな判断材料となる。

 「日本代表の3連覇のために中心でやらなければいけない」と田中。さらに今季は故障で戦列を一時離れたこともあり「責任を感じる。今はチームの優勝のことしか考えてない」。目指すは世界と日本の頂点。その先にメジャーへの道が開けている。

 ≪最速&最年少≫田中(楽)が3年契約、来季年俸4億円で更改した。4億円は投手歴代5位タイ、来季では阿部、杉内(巨)に次いで球界3位。プロ7年目、25歳シーズンでの4億円到達は11年ダルビッシュ(日=5億円)、98年イチロー(オ=4億3000万円)と並び最速かつ最年少タイとなる。ダルビッシュは7年目のシーズンを終えて海を渡ったが、田中の選択は?

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