沖縄のダル 運天クレイトン、日米スカウトうならせた

[ 2009年6月21日 06:00 ]

<八重山農林・浦添工>力投する浦添工の運天・ジョン・クレイトン

 第91回全国高校野球選手権大会(8月8日から15日間・甲子園)の沖縄大会、南北海道大会が20日、全国のトップを切って開幕した。今秋ドラフト候補の“沖縄のダルビッシュ”こと浦添工の運天・ジョン・クレイトン(3年)が7回無失点と好投。八重山農林を下して初戦を突破した。また、東・西東京、鹿児島の組み合わせがそれぞれ決まった。

【組み合わせ
試合結果


 【沖縄・浦添工7―3八重山農林】祖母のキャシーさんと抱き合った運天の彫りの深い顔がすぐに崩れた。祝福のハグに少し照れながら「チームが勝って最高!」と笑った。
 最後の夏。プロ注目右腕は直球で強気に内角を攻めた。制球に苦しみながら2回に3者連続三振を奪うと一気にペースアップ。6回まで完全投球を続けた。「記録は意識した」という7回、先頭から連打を浴びて快挙は逃したが、しっかりと無失点で切り抜けて2番手にマウンドを譲った。7回2安打無失点。自己最速を1キロ更新する147キロを記録して、ネット裏で見守った日米10球団のスカウトをうならせた。
 日米のハーフ。米国人の父・マイケルさんは軍人で、幼稚園のころは米軍牧港補給基地で暮らした。スラリと伸びた体は父親譲り。全身がバネで50メートル走6秒1の身体能力を誇る。2年生エースだった昨夏も注目を集めたが、1回戦の宮古戦で延長15回を1人で投げ抜きながら0―0で引き分け。再試合で敗れた。1日15キロの長距離走、豆乳などの食事改善でスタミナを強化。米ペンシルベニア州から応援に駆けつけた祖母の前で「一番長い夏にしたい」と誓った。
 投球フォームやルックスから“沖縄のダルビッシュ”と騒がれたが、エースは「もう似ていると言われない」と“脱ダル宣言”。甲子園への1番切符をつかむ、運天の熱い夏が始まった。

 ▼メッツ・大慈弥環太平洋担当本部長 身体能力が高い。ダルビッシュのように腕の振りがもっとコンパクトになれば、もっと良くなる。
 ▼広島・田村スカウト 初戦ということでバランスが少し悪かったが、下半身が使えるようになってきた。

 ◆運天(うんてん)・ジョン・クレイトン 1992年(平4)3月27日、沖縄・宜野湾市生まれの17歳。小2から「我如古ファイターズ」で野球を始めた時から投手。中学では「宜野湾ポニーズ」で硬式野球に転向。昨夏1回戦・宮古戦は延長15回を投げ抜いたが引き分け。救援登板した再試合で敗れた。1メートル80、70キロ。右投げ右打ち。

続きを表示

2009年6月21日のニュース